病医院経営の今をお伝えするコラム
コンサルタントの視点から:「令和4年歯科疾患実態調査から」
1.はじめに
令和5年6月29日に、「令和4年歯科疾患実態調査の結果(概要)」が厚生労働省から公開されました。
歯科関連業界にとって興味深いデータが多く、内容の一部をご紹介します。
詳細は、厚生労働省のWEBサイトから閲覧していただきたいと思います。
2.調査の概要から
令和4年歯科疾患実態調査の被調査者数は 2,709 人(男 1,239 人、女 1,470 人)でした。
①8020 達成者は51.6%でした。
前回調査時の51.2%とほぼ同じでした。
85歳以上で20本以上の歯がある割合は38.1%に達していました。
②図表―1は、永久歯にう蝕を持つものの割合の年次推移です。
35歳~74歳の95%以上にう蝕があります。
65歳以上は年々増加し、75歳~84歳は微増で、85歳以上では急増しています。
③図表―2は、4mm以上の歯周ポケットを持つ者の割合です。
74歳までの各年齢層では減少しましたが、75歳以上では急増しています。
④歯科健診の受診状況は総計で58.%でした。
年齢別では、5歳から14歳で多く、男女ともに30歳から50歳が低く、高齢者は高くなっていました。
3.考察とまとめ
すでに半数以上が8020を達成しており、次の目標を設定すべき時期がきているのかもしれません。
千葉県歯科医師会では8029運動を開始しています。
これは「80歳で肉を食べよう」という運動です。
85歳以上で20本以上の歯がある者が38.1%に達しており、決して夢ではないと思います。
ただし、高齢者の口腔内に歯牙が多く残っているために、高齢者のう蝕や歯周病が増加しています。
特に、う蝕を持つ者は55歳以上の各年齢層で増加しており、85歳以上はほぼ約10ポイントも増加しています。
また、4㎜以上の歯周ポケットを持つものは75歳以上で増加しています。
健診については、5歳~14歳の受診率が84.4%と高く、これは学校健診によるものと考えられます。
また、30歳~50歳が40%台と低く、これは、かかりつけの歯科診療所で受診している可能性があります。
高齢者の受診率が60%程度と高いのは、自治体の成人歯科健診などを受診しているためと考えられます。
国民皆歯科健診の実施が議論されていますが、受診率を高める方策が必要になるとともに、かかりつけの歯科診療所で定期予防管理を受けている患者についても定期的にデータを集め、歯科健診のデータと統合して、治療やSPTによる経過などを総合的に分析できればと思います。
その意味でも、できるだけ早い実施を期待しています。
以上