病医院経営の今をお伝えするコラム
マーケティング・ヒント「担当患者を増やそう」
あなたの歯科医院では、SPTやP重防などの処置を、担当患者制にしていますか?担当患者制にすると、例えば次のようなメリットがあります。
1)患者さんの症状の状態を追うことができる。
SPTは歯周病安定期治療です。安定期に入った歯周病を成人病のように長期にわたって管理することが目的です。担当制にすることで、歯周ポケットの変化や、口腔内全体の変化を継続的に把握することができます。担当患者制でなければ、毎回別の患者さんのSPTを行なうわけで、前回との比較もできず、毎回同じような処置を機械的に行なって終わるだけになります。
2)患者さんのモチベーションを維持することができる。
担当患者制で毎回同じ患者さんを診ることでコミュニケーションが確立していきます。患者さんに前回との変化を説明し次回の予定を伝えておくことで、来院する意欲が生まれます。
3)症例発表に向けた継続的な処置ができる
日本歯周病学会などの認定歯科衛生士をめざす場合には症例発表が必要になりますが、担当患者制でなければ症例を追いかけることができません。また、一症例だけでは結果的に発表できるレベルの症例にならないことがあります。担当患者制で何人もの患者さんの症例写真を撮影し記録していかなければ認定歯科衛生士に挑戦することも不可能になってしまうのです。
4)治療者としての自覚が生まれる
歯科衛生士と看護師との違いは、スケーリングやSRP、術者磨きなどの歯周処置ができ、「治療者」として患者さんの歯周病を治療していけることです。自分の前回の処置を再確認し、診療のサイクル(計画して、やってみて、チェックして、対策をとる)を回すことで自信とやりがいにつながっていきます。しかし、毎回違う患者さんを診るのでは、自分の前回の処置の再確認もできず、どんなにSRPが上手でも、ただ処置をくりかえすことになりかねないのです。
5)悪意のクレームや書き込みが抑止できる
どの歯科医院でも、悪意のクレームを受けたり、心ない書き込みをされた経験があると思います。担当患者制で継続的に来院してくれる患者さんとは高度な信頼関係ができるため、このような事態になりにくくなります。よい口コミを広げてくれる患者さんも次第に増えてきます。
ただし、すべての患者さんを担当患者制にすることはお勧めしません。それは、歯周治療よりも外科処置など診療介助が好きな歯科衛生士もいますし、どの歯科衛生士からも嫌われる患者さんがいるからです。例えば、神経質だったり、自己中心的だったり、クレーマー的な性格だったり、暴力的な言動のある患者さんです。担当患者制を成功させるポイントは、こうした患者さんを無理に担当制で特定の歯科衛生士に押しつけないことです。
担当患者制にするのは、一人ひとりの歯科衛生士が、「自分が継続的に診ていきたい患者さん」の次の予約を自分でとっていくことから開始します。iPadからアポコンで次回予約をとっていくのです。ただし、自分の手に負えない重度の歯周病患者などは、次回予約をだれにするか院長に相談して指示を受けるようにしましょう。
以上