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採用・人事労務
2022年08月02日

チーム力アップのための人事評価制度

《人事評価の目的・考え》
 当院の人事評価制度は、職員が「自ら考え行動できる」ための人財育成・能力開発を重要視しています。それは、病院の経営理念・基本方針・クレドおよび部門目標のもとに職員が自主的に目標を設定し、これを自己管理において実行・遂行することによって能力が開発され向上すると考えているからです。
 また、人事評価による上司と部下の面談は、日常業務を遂行する中で各自が目標に到達するための自己研鑽の状況や必要な支援の有無等、上司と部下がコミュニケーションを図るよい機会として位置付けています。
 部門・部署および各個人が取り組んできたプロセスや結果について一緒に考え共有し、実行につなげていくことにより、当院における医療の質の向上を図ることを目的としています。
 さらに、職員の職務遂行能力を適正に評価し、それに相応する資格等級に格付けをして、職位への配置、異動、昇格、昇進、処遇、教育訓練そのほか人事管理を公正に運用することにより、職員の仕事に対する意欲を高め、併せて経営能率の向上を図ることを目指しています。

《過去の人事評価》
 過去の当院の人事評価は、職種、資格、経験年数等に関係なく、1種類の人事評価表により評価を実施していました。評価者にとっては職種や資格、経験年数等に関係なく統一した着眼点でシンプルに評価できるメリットがありましたが、1種類の人事評価表で業務の成熟度を中心に評価していたので、役職者やベテラン職員のほうがおのずと高く評価されてしまうようになっていました。
 また、人事評価を運用していくうえで必要な規則やルール等が全くなく、処遇への反映は院長や事務長による温情評価(前回の処遇を下回らない)で行われており、職員からは「人事評価をやっても意味がない、無駄だ。頑張っても公正に評価されない」等の声が多く聞かれていました。
 これでは公平で公正な人事評価につながらないと考え、基準・規則の作成や評価体系等を構築し、目的や運用・ルール等を周知徹底していくことで、現在の人事評価に近づけていきました。私が当院に転職して1年半後の2018年4月1日には、今までの人事評価と併用しながら運用を開始しました。
 このように、1年半という短期間で人事評価制度をアップデートできた背景には、人事評価制度の課題がはっきりしていたこと、公平・公正に見直されるのではという期待感で多くの職員の協力が得られたことが最も大きかったと思います。さらに、当院は長年、人事評価を実施していたので評価者や職員が慣れていたこともあり、ゼロからの導入や大きな変更ではなくアップデートで済んだことも大きな要因だったと思います。

《現在の人事評価》
 アップデート初期では、まずは公平で公正な人事評価が運用できるよう、就業規則と整合性をもたせた「人事評価制度運用規則」を作成しました。評価者が職員をどのような基準で評価し、人財育成・能力開発、処遇等につなげていくのかを全54条に定義しています。
 また、職務の複雑性、難易度、責任の度合い等を基準として、職種、資格、経験年数、役職等と合わせてこれを7段階に区分し、それぞれの資格等級について病院が要求し、期待する総括的基準および行動等の基準として「資格等級基準書」を定めました。
 これらの規則と基準に基づき、各評価項目の要件・要素、着眼点を参考に具体的事実を記載して評価する「人事評価シート」を作成しました。
 人事評価シートに記載された評価を処遇に反映させるために、公務員の俸給表をイメージした「給与表」を作成しました。自分の職種の給与表を閲覧できるよう、透明性を持たせています。
 アップデート中期から現在にかけては、法や制度改正および組織の再編等に合わせて毎年のようにアップデートしながら、人事評価を確立しています。

《将来の人事評価》
 最近は、チーム医療に取り組んでいる病院がほとんどで、当院も栄養サポートチーム(NST)や骨粗鬆症リエゾンチーム等、いくつかのチーム医療に力を入れています。
 患者さんの安心・安全、専門性の高い医療のみならず、タスク・シフト、タスク・シェア等の働き方改革にもつながっています。
 これらのチーム医療はカンファレンス等で患者さんの評価は行われていますが、それに携わったチームの評価は全く行われていません。チームが掲げた目標の達成度等を評価することによりモチベーションがアップし、それがチーム医療の質向上につながると考えています。
 また、患者さんの立場になって各部門・各部署が立てた目標に基づき達成度を評価することは、各部署のまとまりや協力体制、成長度を見ていくうえで必要な評価と考えています。当院では毎年、部署ごとにBSC(バランス・スコア・カード)を作成していますが、各部署の達成度の評価は実施していません。個人の能力開発、部署の能力開発は院内連携や組織の活性化につながると考えており、近い将来、個人評価に加えチーム力評価(部門・部署評価)を導入するために準備を進めています(説明画像)。
 高齢社会による医療費の増加、人口減少に伴う働き手不足、医療従事者の働き方改革、災害・感染症対策等、医療を取り巻く急激な環境の変化に対応できる組織づくりとしてチーム力の向上は必要不可欠です。
 チーム力評価をきっかけに、病院全体の組織力向上および活気につながっていくことを期待しています。

産労総合研究所発行 病院羅針盤 2022年7月15日号掲載分一部改編


執筆コンサル

西村  俊也

西村 俊也

医療法人社団誠療会 成尾整形外科病院、熊本そけいヘルニア・整形外科クリニック
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