病医院経営の今をお伝えするコラム
コンサルタントの視点から:「親子承継を成功させるポイントを考える」
1.はじめに
親子承継に関する相談を受けることが増えている。しかも、親からではなく、子供からの相談が多い。現実には親子承継がうまくいかないケースも多いからだ。子供も、特に人口減少や高齢化が続く地方で開業している親の歯科医院を承継することに、不安を抱えているからである。
そして、子供も歯科医師としての夢をもっている。都会の歯科医院で勤務医をしていれば、色々学会に入って専門性を磨くことができる。さらに最新の歯科医療を学び、先端医療機器を使った診療をすることができる。さらに、都会のほうが子息が生まれた際の教育環境が整っているため、都会での生活を続けたいと考えているケースも多い。
そのため、親が「親子だから帰って継ぐのは当然だ」と考えていても、現実にはうまくいかず、子供が飛び出してしまうケースも多いのだ。今回は、親子承継を成功させるポイントを考えてみたい。
2.親子承継を成功させるポイントとは
上記のように親子承継をさせたい親の意向と、子供の抱えている現実には、大きなギャップがある。親子承継を成功させるために重要と考えられるポイントを列挙しておきたい。
(1)医院の経営状態が子供に承継させるに値すること:医院の経営状態が良くなければ、自分の苦労を子供に押しつけるだけの結果に陥る。子供が勤務医として成功できれば、年収1千万円~2千万円を稼ぐ。医院承継より生涯収入が高くなる可能性があることを踏まえて、慎重に考える必要がある。
(2)親子で医院の経営内容や財務状況を理解していること:医院の経営状況や借入金残高など財務状況を伝えておかないと、子供に「帰って医院を継げばなんとかなる」など、安易な判断をさせる可能性がある。
(3)承継後の経営や親の生活設計などを話し合っていること:親が現役歯科医師として子供と一緒に診療を続けたいのか、完全にリタイアしたいのか、自分の考えを整理しておく必要がある。
(4)親が譲歩すること:成功している医院では、親が譲歩して承継を機に引退しているケースが多い。帰ってくる子供は最新の歯科治療技術を習得しており、夢や希望を持っている。彼等彼女等のほうが今の歯科医師としては優れていることを理解して、親は譲歩しながら退場していかざるを得ない。
(5)将来の相続なども含めて対策を立てておくこと:医院承継を考える際に法人化を考えておく必要がある。承継する子供以外に兄弟姉妹がいる場合、相続財産の配分も考えておく必要がある。
3.まとめ
親子承継は、歯科医院の承継方法として院長が最初に考えることの多い選択肢である。親にとっては、医院だけでなく、自分の歯科医師人生を次の世代に託すという意味もある。
しかし、親が子供への承継を希望していても、実際に親子承継が実現するとは限らない。それは、親子であるがゆえに、経営や財産、将来の生活について率直に話しにくく、話し合いを先送りしてしまうケースが少なくないからである。実際、親とじっくり承継について話せないというケースも多い。親にとって魅力的な医院が、子供にとっても魅力的な承継先であるとは限らないという現実もある。
そのため、まずは親から、「医院を承継してもらいたい」と率直に伝えることが出発点である。そのうえで、子供が承継しない選択肢も含めてじっくり話し合っておく必要がある。親子承継を成功させる最大のポイントは、早くから話し合いを始め、併診しながら子供が承継したいと思える医院を一緒に作り上げ、承継後は、親が経営権を手放して早期に引退することである。
