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診療(介護)報酬
2026年04月04日

在支診の本気度が試されている-R8の改定内容対策を考える

執筆した医業経営コンサルタント

阿部 勇司

阿部 勇司

オフィス謝府礼
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▼はじめに
前回、R6年度の診療報酬改定では訪問回数が3月で2,100回を超える医療機関において、施設患者の割合が高いケース(7割以上)の場合は4割減という設定がされた在宅医療。
これを受けて、ご支援先の先生とも「在宅医療を増やしたいのか、絞りたいのかどっちだろう?」という問答をこれまでも繰り返し議論してきました。

高齢化が全国に先駆けて進んだ一部の地域を除いては、多くの地域で在宅需要は2040年以降にピークを迎えることが見込まれています。こう考えると「きっともっと増やしたいに違いない」と思えるのですが、こと在支診(とくに患者数が多い=訪問回数が多い医療機関)に対しては、診療所側がとってきたこれまでの施策に国の思惑と誤差があると収益に下押し圧力が働くような改定内容となってきました。

そして迎えた今回(R8年度)の改定内容でも、降ってわいたような内容にやっぱり驚かされたのでした。


▼在宅緩和ケア充実診療所・病院加算の呼称変更とこれに伴う施設基準の見直しの衝撃(1)
在宅緩和ケア充実診療所・病院加算は、緊急往診や看取り、麻薬使用に十分な実績がある常勤医がいる医療機関を評価したものでした。

それが今回の改定では「在宅医療において積極的な役割を担う医療機関を更に評価する」という観点から、この加算の名称が『在宅医療充実体制加算』へと呼称を変え、点数はこれまでの2倍という高いものではあるものの、なによりその施設基準要件クリアの難しさに驚かされました。

以下に点数の概要と要件の概要を書いてみると--

<点数概要>
例:在宅時医学総合管理料における在宅緩和ケア充実診療所・病院加算
現行/単一建物診療患者が1人の場合(400点) → 改定後/800点
   同2人以上9人以下の場合(200点)   → 改定後/400点
など

<要件概要>
○充実した人員等の体制
・在宅医療を担当する常勤医師数が3名以上かつ常勤医師数が2名以上
・自院単独で24時間の連絡体制及び往診体制の確保

○看取り・緩和ケア等の提供機能
・1年間の緊急往診実績30件以上、かつ看取り30件以上
・緩和ケア研修を終了している常勤医が在宅医療を担当していること
・末期がんで経口鎮痛が無効な患者に対し、自己注射によるオピオイド鎮痛療法の実績が年2件以上、または経験豊富な医師の配置と適切な投与体制のもと年10件以上の実績を有すること。
・緩和ケア病棟または在宅での1年間の看取り件数が10件以上の保険医療機関において、3カ月以上の勤務歴がある常勤医がいること
・看取り実績等の掲示等、必要な情報提供を行うこと

○重症患者の診療体制
・在宅医療を提供する患者のうち、「別表8の2」に該当する重症度の高い患者2割以上
・常勤換算した医師1人あたりの、訪問診療を実施する患者の実人数は100人以下

○ICTを活用した多職種連携
・在宅医療情報連携加算に係る届出を行っていること

○医師等の教育実績(過去2年度以内に、以下のいずれか)
・大学の医学部医学科の単位認定を目的とした地域医療実習生の受入
・協力型臨床研修病院又は臨床研修協力施設として、地域医療の研修を目的とした研修医の受入
・内科領域、総合診療領域又は小児科領域の専門研修基幹施設又は専門研修連携施設として、専門研修を目的とした専攻医の受入
・地域枠等の卒業後に、都道府県内で一定期間医師として就業する契約を、当該当道府県と締結している医師又はこれに準ずる医師の受入

○在宅データの提出
・在宅テータ提出加算に係る届出を行っていることが望ましいこと

--のようになります。在宅データ提出加算が「望ましい」要件なのに、なぜ「医師等の教育実績」が望ましい要件でないのか…。謎と愚痴が止まりません。



▼在宅緩和ケア充実診療所・病院加算の呼称変更とこれに伴う施設基準の見直しの衝撃(2)
個別改定項目の内容が明らかになった当初(2月頃)。施設基準等の欄には「地域の重症な在宅患者に対し質の高い診療を行うにつき十分な体制が整備され、相当の実績を有していること」ということのみが記載されていました。

しかしいざ官報告示がでてみると、『医師等の教育実績』ということも要件に。

従来の「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」はお看取りの実績等を有していれば、在宅時医学総合管理料等を算定するすべての患者さんから算定できたため医療機関の収入には一定のインパクトがありましたが、聞いた話しのなかではこの加算が算定できなくなることで少なくても月間50万円ほど、多いところでは150万円ほどの減収になるという医療機関もありました。

当該加算の名称が「在宅医療充実体制加算」であり、質の高い在宅医療を充実させたいという思惑からこうした要件が付されただろうことは理解できます。

しかし診療所の規模や開業時のスタイルによると思いますが、多くの開業医の先生方は医局を離れ、自らの診療技術を信じ独立された方たちであって、医局との関係が薄い先生方も多く存在していると認識しています。

そうした先生方にとって、この医師等の教育実績という要件は「寝耳に水」だったのではないかと思わずにはいられません。



▼在宅医療充実体制加算の「医師等の教育実績」にどう対応していくか
冒頭にも書いたご支援先の先生とは、「まずは協力型臨床研修病院・施設がどこか調べて、研修医を受入れるにはどうすれば良いか教えてもらおう」というところから着手することになりました。

調べて見ると、ご支援先がある都県では「臨床研修施設一覧」などが用意されていることが分かりました。また、はやりまずは出身大学から~ということで、ご支援先の先生の出身大学へアプローチし、「臨床研修協力支援施設」に参画させてもらう手続きに入りました。

しかしここでも衝撃の事実に直面しました。それは-
・学校側の臨床研修プログラムの関係から、はやくてもR9年度の対応になること
・研修先はあくまで研修医の希望が優先されるため、必ずしも研修医の受入先になるとは限らない
-ということ。

あいにく、現時点では当該加算についての経過措置は設定されていないため減収が避けられない状況ではありますが、他の加算を取りに行くことで多少の相殺により減収額を抑えつつ、広範に臨床研修施設へのアプローチを実施していくこととしています。



▼参考/地域医療研修とは
地域医療研修は、医学部卒業後に行われる2年間の初期研修の必修科目の一つで、原則として2年次に4週間以上行うこととされています。

基本理念は「一般的な診療において頻繁に関わる負傷または疾病に適切に対応できるよう、プライマリ・ケアの基本的な診療能力を身に着けること。またその到達目標は、「地域医療の特性及び地域包括ケアの概念と枠組みを理解し、医療・介護・保健・福祉に関わる種々の施設や組織と連携できる(引用:第3回医道審議会医師分科会 医師臨床研修部会/令和2年12月10日)」ことにあるとされています。

臨床研修の教育に参加すること、協力することは相応のメリットが両者にあることは理解できるものの、やはり突然の要件化には驚かずにはいられませんでした。


しかし、いずれにしても地域医療研修等の受入ができなければ「在宅医療充実体制加算」は算定できないため減収は必須。これを回避するためには受入れをするしかなく、広範に臨床施設と協力をする必要がある。

国はそうした、臨床研修施設と協力し医師教育にも参画する在支診が真に「在宅医療において積極的役割を担う医療機関である」と認めたということであり、在宅緩和ケア充実診療所・病院加算変更による減収を回避するためには、在宅医療充実体制加算を取りに行かなければならず、在支診や在支病を掲げる医療機関の本気度が試されているのだと認識しています。


投稿日:2026年4月4日


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