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歯科経営
2025年09月25日

コンサルタントの視点から:「無断撮影から医療者を守ろう」

執筆した医業経営コンサルタント

木村  泰久

木村 泰久

(株)M&D医業経営研究所
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1.はじめに

無断で診療中の動画や写真を撮影されるケースが増えている。
ある医院では、女性歯科医師が、小児患者のお母さんから治療中の動画を無断で撮影されていた。
また、ある歯科医院では、若い歯科衛生士が処置後にスマホで写真を撮られ、動画サイトやSNS
に無断でアップされる可能性もあり不安だと相談を受けた。どう対応すればよいだろうか。

2.無断撮影の法的な問題とは

患者が診療中に歯科医師や歯科衛生士を無断で撮影する行為には、重大な法的・倫理的問題がある。

(1) 肖像権・プライバシー権の侵害
肖像権とは、本人の承諾なく撮影・公表されない権利のことである。
診療中の姿は個人の容貌・動作に属するため、同意なしの撮影は侵害に当たる可能性が高い。
プライバシー権とは、個人の姿や情報など、私生活上の事柄を守るための権利で、憲法解釈や判例で
確立されている。
無断撮影は肖像権とプライバシー権の侵害として、慰謝料や損害賠償の請求が可能である。

(2) 医療機関の秩序・安全管理義務
医療機関は「患者と職員双方の安全とプライバシー」を守る義務がある。
無断撮影は、院内ルール違反や秩序の乱れに該当し、医療機関は施設管理権に基づく退去命令や出入
禁止措置が可能である。
悪質な場合は、威力業務妨害罪に該当することもあり刑事罰を問うことも可能である。

(3) 名誉毀損・侮辱罪の可能性
患者が無断で撮影した動画や画像をSNSなどに投稿し、編集したり、コメントで歯科医師や歯科衛
生士の社会的評価を低下させるような表現があったりした場合は、刑法230条の名誉毀損や231条の侮
辱罪に該当する。損害賠償請求が可能である。

(4) 他の患者さんの個人情報保護法違反、プライバシー侵害
院内を無断で撮影している場合、他の患者さんや、他の患者さんのカルテやモニター画面などが映り
込む。この場合は、映り込んだ患者さんの個人情報保護法違反やプライバシー侵害の問題が発生する。
受診の秘密などの医療情報は特に守るべき重要な個人情報とされ、無断撮影での映り込みは重大な法
的リスクを負う。

(5) 医師法・医療倫理の観点
医療行為は患者と医療従事者の信頼関係の上に成り立っている。無断での動画や写真撮影は、医療従
事者を萎縮させ、正常な判断を阻害し、診療の質・安全性を損なう可能性があり、医療提供体制に対
する妨害行為ということができるため、医療機関は退去命令や出入禁止措置が可能である。

3.歯科医院での対策

① 院内に、無断撮影禁止のポスターを掲示しておく。(画像参照)
② 院内での無断撮影を見つけた場合は、その場で注意して中止させる。
③ 撮影した動画や画像を削除させる。
④ 撮影された歯科医師や歯科衛生士に謝罪していただく。
⑤ 悪質な場合は、以後の来院をお断りする。

歯科医師や歯科衛生士に無断撮影の不安を与えないために、親から「子どもの治療内容や注意事項の
説明を記録したい」などの要望がある場合は、必ず事前に担当医や担当歯科衛生士の承諾を得ていた
だくことを、条件としておく必要がある。


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