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診療(介護)報酬
2025年08月13日

第1回 診療報酬は「報酬」ではなく『構想の言語』——中医協から読み取る未来の医療

執筆した医業経営コンサルタント

大曽根 康人

大曽根 康人

medi coorde
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<はじめに ——>
医業経営コンサルタント協会のコラムという貴重な場で、まだ駆け出しの私ではございますが筆を執らせていただきます。
日々、中医協総会・各分科会を生で拝聴し、資料に目を通すたびに、先輩方が積み重ねてきた制度理解と経営判断の奥深さを痛感しています。
今回から数回にわたって、「制度改定をどう読み解き、経営戦略へと翻訳するか」というテーマで、私なりの気づきを共有させていただきます。

ベテランの皆様にとっては当たり前のことも多いかもしれませんが、何かしらの気づきのきっかけになりましたら幸いでございます。
また、回を重ねる中で、一資格者としてAIを活用することによる新しいアプローチについても徐々に触れていきたいと考えています。

<中医協の議論から感じた“空気の変化”>
中医協を継続的に拝聴していると、ここ10年ほどで議論の重心が変わってきたことに気づきます。
以前は「加算の要件」「届出方法」といった実務的なやり取りが中心でしたが、最近では**「医療提供体制の再構築」や「地域包括ケアの推進」**といった構想レベルの話が前面に出ています。

令和6年度改定の精神医療では:
精神科地域包括ケア病棟入院料(180日通算)
精神科入退院支援加算
が新設され、地域移行を前提にした機能転換が促されました。

在宅医療では:
外来在宅共同指導料
専門性の高い訪問看護の評価
などが加わり、地域包括ケアの「実働段階」への移行を明確にしています。

これらは単なる報酬の増減ではなく、「医療機能の再編方向」を診療報酬という形で明示したものだと感じます。

<「報酬」から「構想の言語」へ>
診療報酬は、表面的には点数表ですが、その裏側には政策のメッセージが詰まっています。
外来機能分化の議論では、紹介受診重点医療機関やかかりつけ医機能の評価を通じ、患者の流れを一次・二次・三次医療機関に適正化する構想が示されています。

こうした制度は「構想の言語」として読む必要があります。
行間を読むと、加算や評価の設計意図——

・どの行動を促したいのか
・どの機能を抑制したいのか
が浮かび上がってきます。

< 中医協から学んだ「行間読み」の3視点>
中医協資料と議論から、私が整理した「行間読み」のポイントは3つです。
・政策の方向性をつかむ
・骨太方針や財務省資料まで視野を広げ、「なぜ今この改定か」を理解する。
・制度設計の背景意図を把握する

新設=促進したい機能、廃止・統合=抑制したい動き
地域医療構想との接続を考える

同じ加算でも、地域特性によって経営戦略への影響は大きく異なると考えられます。
現在の議論の中でも医療機関として「どのような役割を地域で果たしていくのか」という観点がボトルネックとなって話し合われている傾向にあります。

<経営戦略への翻訳プロセス>
制度を経営に落とし込むために、私は以下の4ステップを意識しています。

・制度の意図を一文で要約
・医療機関の現状データと照合
・制度を反映した3〜5年のシナリオを描く
・KPIに落とし込み、現場が動ける形にする

こうすると、制度は単なる「守るべきルール」から「未来を描く道具」へと変わります。

<私なりの視点で>
私はまだ制度の全容を即座に把握できるほどのベテランの先生方のような知識と経験はございません。
またすべての公文書を端から端まで読み解くことは人の力では限界がありますし、非効率的であるとも考えています。
だからこそ、AIを使って情報を整理・比較する方法が有効だと感じています。
私は医業経営コンサルタントあるとともに、4つの資格を持ちAIに関する知識と経験を高めて参りました。
例えば、中医協資料や改定要綱を自然言語処理で要約・分類し、過去改定との関連性を自動抽出する。
これにより、短時間で改定の「物語」を把握し、経営提案に活かせる可能性があります。
その可能性を探索し、RAGによって学習させ、アイディアを創出すること、これを進めております。

今回の連載では、まず制度を人間の視点で深く読み解き、後半ではAIによる分析の活用事例をご紹介していきます。

<次回予告>
次回は、「構想を制度からどう言語化するか」。
中医協資料の文言や議論のキーワードから経営者の未来像を引き出すための質問技法について、現場での実践例とともにお伝えできればと考えます。

<最後に>
釈迦に説法のような内容になり、大変失礼いたしました。
ほんの少しの気づきやヒントになりましたら幸いでございます。
日々精進して参ります。

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