病医院経営の今をお伝えするコラム
コンサルタントの視点から:「スキマバイトの活用を考える」

1.はじめに
歯科医院でも、歯科衛生士の「ハノワ」や、歯科助手に「タイミー」などを活用するケースが増えている。今回は、スキマバイトを活用するためのポイントと注意点を考えてみたい。
2.スキマバイトとは
歯科医院では、スタッフが病気やケガで休むような場合や、正社員を休ませたい場合などに活用され急増している。ハノワでは、2024年8月の歯科衛生士のマッチング数が4,131回にのぼり、タイミーによれば、登録ワーカーは2024年には900万人に達し、2021年の3.9倍になったとしている。
3.スキマバイトを活用するメリット
次のようなメリットがある。
(1)人手不足の解消=繁忙期や急な欠員に、柔軟に対応することが可能になる。
(2)人件費削減=必要な時間だけ人材を確保でき、固定費(正社員の人件費)を抑えられる。ただし、ハノワなど人材派遣型のスキマバイトは、人材派遣料が時給に加算されるので時間単価は割高になる。
(3)業務の柔軟性向上=正社員の歯科衛生士をSPTなど付加価値の高い業務に配置し、高いスキルが求められない業務にスキマバイトを配置することが可能になる。
(4)業務量の変動に合わせた人材配置が可能=夕方など患者が集中する時間帯に応援を依頼することができる。また、週6日稼働の歯科医院では、スキマバイトの活用によって常勤職員を休ませることができる。
4.スキマバイトを活用するデメリット
次のようなデメリットが考えられる。
(1)定着率が低く教育投資の無駄が生じる=すぐに辞めるので、教育しても無駄になるリスクがある。
(2)業務やサービス品質のばらつきが生じる=年齢やスキルに差があるため、サービス品質を確保しにくくなる。
(3)やる気や熱意のない人材が混じることでトラブルにつながる可能性がある=組織への帰属意識や、やる気、熱意のない人材が混じることでチームワークが破壊される危険がある。
5.スキマバイト活用のポイント
歯科医院でスキマバイトを活用するうえでのポイントをまとめた。
(1) 適切な採用・マッチング=スキルや適性を見極め、適材適所の配置を意識する必要がある。
(2) 業務の流れをマニュアル化しておく=短期間でも円滑に業務を進められるように、業務を動画などでマニュアル化しておく必要がある。また、「どこに何があるのか」をわかりやすくしておく必要がある。
(3) 業務範囲を明確にしておく=スキマバイトに任せる業務範囲を明確にしておかなければ、際限のない雑務に追われてしまい、やる気を失って退職につながることがある。
(4) 労務管理を徹底し労働法や税法を遵守する=複数の医院で働く場合、労働時間が合算で一日8時間、あるいは週40時間を超えると労働基準法違反となる可能性があり、注意が必要である。
(5) 院内の防犯に留意する=更衣室の前に防犯カメラを設置して、出入りするスタッフと時間を記録できるようにしておく、ロッカーは必ず施錠する、などの防犯対策を取っておく必要がある。
(6) スキマバイトからの評価に留意する=ハノワには、派遣された歯科衛生士が歯科医院の評価をフィードバックするシステムがあり、マイナス評価が申し送りされると派遣希望者がこなくなることがある。
6.まとめ
スキマバイトに「この医院で働きたい」と思ってもらうには、従業員の人柄や職場全体の雰囲気に加え、仕事内容への満足度も重要であり、「大切なスタッフ」として扱う姿勢が求められる。使い方によっては貴重な戦力になるので、人材不足に悩む曜日や時間帯で活用を検討してみてはいかがだろうか。