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2021年10月29日

コンサルタントの視点から:「衆院選を機会に社会保険財政を考える」

 衆議院議員選挙が公布され、10月31日(日)の投票日まで激しい選挙戦が展開された。各政党から公約が発表されたが、特に野党の主張は、「消費税を5%に下げる」とするなど乱暴な議論が目立った。今回の特徴は、どの政党もコロナ対策、給付金や消費減税などの経済政策が中心となっていることです。しかし、財政再建への道筋を示した政党はありませんでした。今回は社会保険財政の現状をみてみたい。
 図表は、財務省が制作した2020年までの社会保障給付費の推移グラフである。社会保障給付費急増の原因は、75歳以上になると、医療・介護に係る国庫負担が急増するためである。財務省によれば、高齢化の進展に伴い、2025年にかけて医療・介護に係る国庫負担が急増するため、国庫負担への依存を強めながら、医療費・介護費が大幅に増加していくという。また、国民医療費は過去10年間で年間平均2.2%のペースで増加してきた。うち、高齢化等による増加は年平均1.1%である。このため健康保険料率の引上げが続き、2021年度の46.8兆円が、2025年度には54.9兆円に達すると予測されている。ところが、雇用者の給料や報酬はここ30年ほとんど伸びていない。このため、健康保険料率の引上げが実質賃金の減少につながっていく。例えば、令和3年度の東京都の協会けんぽの保険料率は9.84%、介護保険料を含めると11.64%に達し、賃金の約1割が徴収されているのだ。2021年は、コロナ禍によるコンビニ受診の激減などで医療費が減少し、令和2年度の概算医療費総額は▲1.4兆円の減少となった。しかし、コロナ禍が収束すれば、以前のようにコンビニ受診が復活すると考えられ、予断を許さない。
 医療保険制度の持続可能性を確保する観点から、医療費や社会保障給付費への対応が急務となっているが、野党各党の公約を見る限り、到底このような状況を理解しているとは考えられない。社会保障給付費の財源は、国民から徴収する保険料だけでは賄えず、国税が投入されており、その財源は国債によって将来世代に先送りされている。歯科医療費は医療費総額のわずか7%程度を占めるに過ぎないが、全体からの影響を受けることは確実で、来年の診療報酬改定にどう反映されるのか気になるところである。今回の衆議院議員選挙において医療や社会保障の持続性についての問題をとりあげる政党がなかったことが残念でならない。

                                             以上                                                  
 


執筆コンサル

木村  泰久

木村 泰久

(株)M&D医業経営研究所
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