病医院経営の今をお伝えするコラム
マーケティング・ヒント:「年間休日120日にしよう」
歯科衛生士の採用が難しくなっています。
いまや学卒歯科衛生士が選ぶのは、給与水準だけではありません。「休めること」も第一優先になっているのです。そのため、「年間休日120日以上」、週休3日あるいは午後6時終業で土日休み、という医院に人気があります。求人サイト「グッピー」のこだわり検索のメニューにも「年間休日120以上」がありますが、今ではこれを満たさなければ応募が期待できない状態になっているそうです。
では、「年間休日120日」とはどんなことでしょうか。
1年間は単純計算で52週なので、週休2日で休日が104日になります。52週×週休2日=104日、祝日が16回あるので、これに祝日16日を加えて、年間休日120日となります。つまり、「年間休日120日」は、完全週休二日制+祝祭日全休で、有休を含まない休日日数のことです。
しかし、歯科医院では「木日休診」というケースでも、祝日のある週は木曜に診療をするという医院も多いようです。また、祝日を休診している歯科医院でも、有休休暇の一斉取得で休んでいるケースもあります。当然ながらこれらは「年間休日120日」には該当しません。
歯科医院では、年末年始4日間(12月29日、30日、31日、1月2日、3日のうち、日曜と元旦以外)、盂蘭盆会3日間(8月13日、14日、15日)を有給休暇で取得させているケース多いようです。加えて、5月の連休の3日間を特別休暇として休診している医院もあります。このような場合は、祝祭日である元旦と連休の3日、合計4日の祝日を休んでいるので、16日-4日=12日、休日が増えることになります。
「それは大変だ、とてもムリ!」と感じるかもしれません。
でも、考えてみて欲しいのです。
予約取りの際に、祝日の予約の患者さんをできるだけ平日で埋めていくようにすれば解決していくのではないでしょうか。また、果たして祝日のアポイントがびっしり埋まっているでしょうか。土日と違い、埋まりにくい医院が多いのではないでしょうか。
移行する際には、すでに祝日に予約が入っている患者さんに迷惑をかけないよう、そのまま祝日に診療をして、3カ月程度かけて移行します。できない相談ではないと思います。
勘違いしないで欲しいのは、「年間休日120日は産業界では常識」ということです。
メーカーや商社、金融系企業、IT企業は120日以上の休日で、さらにバースデー休暇や創立記念日休暇などを設定しています。さらに、有給休暇を完全取得させている企業も多いのです。
診療時間の長さと医業収益(売上)には相関関係がないことが知られています。
公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会の大規模データベース(歯科経営指標2017年版)で、届け出診療時間と年間医業収益(売上)との相関分析をしたところ、その結果は、「相関係数が0.1446で基準の0.2を下回り、届け出診療時間(1週間)は年間医業収益にあまり大きな影響を与えていないといえる。」というものでした。
診療時間を短くしても、売上には影響がないのです。
一見不思議ですが、前述のように祝日のアポイントを他の曜日に振り分ければ患者数が変わらないということでご理解いただけると思います。
学卒歯科衛生士の求人倍率が23倍となっています。
「年間休日120日」とすることで採用しやすくなるなら、すぐにでも実施するべきでしょう。
話し合ってみましょう。