病医院経営の今をお伝えするコラム
病院経営に関する二つの会の代表に
『意見・提案しやすい雰囲気作る』
成尾整形外科病院の西村俊也事務局長は2024年4月1日に一般社団法人熊本県医療法人協会事務長会会長に就任し、2024年6月24日には公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会熊本県支部長に就任した。
「病院経営安定をマネジメントするのが事務長でサポートするのがコンサルタント。目的が同じ二つの会で同時に代表となるのはチャンスと捉えている。どちらの会も提案や意見を出しやすい雰囲気を作りたい」と話す。
事務長会について「先輩方の『みんなで医業業界を盛り上げよう』という思いが受け継がれており、事務長同士仲が良く、手の内を見せ合い、電話一本で本音を聞くことができる関係が築けている」とした上で「事務長をしていると孤独なこともあるが、相談できる仲間がいることで自信を持って一歩を踏み出すことができる。チームのようにつながりを大事にする会」と意義を語る。
例えば、会員で共有することでそれぞれが経営の参考に活用できる「病院経営調査」は、各病院の施設概要をはじめ医師や医療専門職の構成、施設基準、人件費・外注費などを細かく記載しており、「手の内を見せ合う」という先述の言葉を体現している。また、若手の発表の場として「病院事務管理研究会」を毎年開き、企画運営の場として「病院運営勉強会」、「システム担当者会」など事務長会の下部組織として五つの分科会を構成し、若手の育成・成長につながる場として機能している。
今後は「多忙な中でも足を運んでもらえるようニーズに合ったテーマや企画など工夫していきたい」と語る。
『双方の強みを取り入れる』
日本医業経営コンサルタント協会は厚生省(現厚生労働省)主導で設立された公益社団法人で、医業経営の健全化・安定化に資することを目的に活動している。
西村氏のように医療機関に所属する会員は10%程で、会員の多くは医療機関を相手にビジネスを行う企業や仕業、金融機関担当者という。
「前職で健康運動指導士として13年間勤務した後、事務職に異動した時に紹介されたのが医業経営コンサルタント。2005年に認定を受けて、経営の事が面白いと感じるようになった」と経緯を明かす。全国組織であることから広く情報収集でき、ネットワークを生かしてスペシャリストに相談できるなどのメリットがあるが、全国的に会員数減少が課題となっているという。「オンラインでの勉強会が増えたことから足を運んで参加する会員が減っている。オンラインだけではスキルがつきにくく、会員同士のネットワークも生まれにくいため、会員でいるメリットを感じられずに退会が増えた」と分析。
そこで「会員一人ひとりのスキルアップにつながるような研究会や会員活性化交流会などを立ち上げ、支部の魅力を高めることで会員増強を図る。私のアイデアだけでなく会員からの提案や意見を形にしながらメリットを打ち出していきたい」と意気込む。また、「今後は支部の講演会に事務長会の会員を招くなどの相互交流も積極的に行う。両者の強み持ち寄りながら補完し合い、それぞれがさらに魅力ある楽しい会になるよう橋渡ししていきたい」と語った。(記事:くまもと経済 宮﨑 慎也)
くまもと経済 「ひと KUMAMOTO FACE」 2024.6掲載分一部改編