病医院経営の今をお伝えするコラム
マーケティング・ヒント:「フールプルーフとフェイルセーフを考えよう」
何度も同じミスを繰り返してしまうことがありませんか?
例えば、SPで来院された患者さんのカルテを間違って別の棚に入れてしまい長時間お待たせした、など起きていませんか?
同じミスを繰り返してしまうのは、「繰り返してしまう原因」があるからです。再発を防止するために、フールプルーフとフェイルセーフを考えてみましょう。
1.フールプルーフ(fool proof)とは
人間が誤った行為をしようとしても出来ないようにする工夫のことで、「バカよけ」と訳されます。
フールプルーフには以下のような例があります。①洗濯機は蓋を閉じなければドラムが回転しない。②自動車はブレーキを踏んでいなければエンジンをかけられない。③電気ケトルで湯を沸かそうとしても水が入っていなければスイッチをONにできない(空焚き防止のため)。
医療のフールプルーフには以下のような例があります。①医療用ガスの接続部は、同じピン数だとつながらない。②輸液ラインのコネクターに輸液用シリンジをつなごうとしてもサイズが違うためつながらない。③名前やパッケージが似ている薬剤を別々の場所で保管して取り違えないようにする。④レセコンで間違った点数を算定しようとしても入力できない。
つまり、あらかじめミスをしても重大な事態に陥らないように作りこんでいるのです。
最初の例でいえば、SPの患者さんのカルテが急患の棚にうっかり入ってしまわないようにする工夫です。例えば、SPのカルテケースの幅をA3版で通常のものより大きくして、急患の棚に物理的に入らないようにしてしまうことが考えられます。
2.フェイルセーフ(fail safe)とは
製品やシステムに故障あるいはエラーが発生しても安全が維持できるように工夫することです。つまり、ミスやエラーが発生しても、安全側に向かうような工夫です。
フェイルセーフには以下のような例があります。①電車のスライドドアに身体が挟まれそうになったら電車が停止する。②異常を検知した新幹線が自動的に緊急停止する。③エレベーターが地震を感知すると、最寄りの階で停止する。
医療のフェイルセーフには以下のような例があります。①病院建築では、手術中に自然災害が発生して病院が停電になっても、自家発電によって電気の供給が無くならないようになっている。②医療機器を誤った使用法で操作しようとした場合に、自動的に機能を停止する。
最初の例でいえば、SPの患者さんのカルテが急患の棚にうっかり入ってしまってもお待たせしないようにする工夫です。例えば、急患の棚にフタをしておき、特に開けなければ入れられないようにしておくのです。入れるときに手間がかかるようにして、気づくようにしておくのです。
色々な場面で、フールプルーフとフェイルセーフを考えておく必要があります。スタッフミーティングで繰り返しているミスを話し合い、フールプルーフでの解決方法と、フェイルセーフでの解決方法を考えてみましょう。