病医院経営の今をお伝えするコラム
ハラスメント研修の重要性と実施に向けたアプローチについて
ハラスメント研修の重要性と実施に向けたアプローチについて
医療機関において、ハラスメント防止は極めて重要なテーマとなっています。
患者の安全を確保し、医療の質を向上させるためには、職場内でのハラスメントを防ぐことが必要です。このコラムでは、医療機関向けのハラスメント研修の必要性と実施に向けたアプローチについて纏めてみました。
※ハラスメント防止はコンプライアンス遵守に含まれる
ハラスメント防止は、医療機関における重要なコンプライアンス要件の一部で、法的規制と倫理的な責任を果たすことも含んだ重要取組の一環として捉えることが出来ます。
また、医療機関の評判を守り患者の安全と医療の品質を確保するために、コンプライアンスの遵守が求められますので、医療機関はハラスメント防止を真剣に取り組み、それをコンプライアンスの一環として実施していく必要があります。
ハラスメント研修を行う際に必要な項目を下記に纏めてみましたので参考にしてください。
1) 事業主がハラスメント防止のために講ずべき安全配慮義務
・研修を実施する動機、目的などを明確化し確認する
2) トップの意向が鍵になる
3) 受講対象者の受講を必須とするか任意とするか
4) セミナー時間
5) キーワードの考慮
6) ハラスメント相談窓口の役割と内部通報窓口との連携強化
7) キャリアカウンセリング
8) 従事者の日常をヒアリング
9) 事例をもとにグループ討議
上記のキーワードを考慮し、セミナー内容を具体的に設計することが重要です。
「事例検討」、「グループワーク」、「内部通報窓口との連携」、「セルフチェック」、「キャリアカウンセリング」、「ヒアリングやアンケート」、「グループ討議」など、これらの要素を組み合わせて、ハラスメント意識の向上と実践的な対処方法の習得を促進することが可能となります。ハラスメント研修は医療機関の健全な文化を維持し、患者とスタッフの安全を確保するために欠かせない要素であり、継続的な取り組みが必要です。
1) 事業主がハラスメント防止のために講ずべき安全配慮義務
・セミナーを実施する動機、目的を明確化し確認すること
ハラスメント研修を実施する際、まず動機と目的を明確に確認することが重要です。医療機関におけるハラスメントの問題を解決し、職場環境を改善するために、セミナーを実施することの目的を明確に定義しましょう。
2)トップの意向が鍵になること
ハラスメント研修の成功には、経営層の積極的な関与と意向が不可欠です。経営層はハラスメント防止の重要性を認識し、その意向を明確に示す必要があります。トップのリーダーシップがなければ、研修の効果は限定的でしょう。
3)受講対象者の受講を必須とするか任意とするかの設定
受講対象者の分類と必須にするか、または任意にするかの設定が必要です。
ハラスメント研修の対象者を以下の4つの階層に分けることを提案します。
a. 経営層、管理職
b. 一般職、非正規、派遣社員
c. ハラスメント相談窓口担当
d. 受講を必須とするか任意とするか(出来れば必須が良い)
このように対象者を分類することで、各層の特定のニーズに合わせた研修プログラムを提供することが可能となります。
4)セミナー時間について
セミナー時間は90分を基本とし、必要に応じて120分とすることを提案します。長すぎず、短すぎず、参加者が集中して学べる時間を確保します。
5)キーワードの認識
研修のキーワードを考慮することが重要です。研修ごとにキーワードを設定することで、事例を提供しグループワークを通じて、参加者にハラスメントの意識を高める機会を提供します。
また、内部通報窓口とハラスメント相談窓口との連携強化を図り、医療従事者のセルフチェックを通じて、個人の癖を知る機会も提供することが出来、当事者意識を高める事が可能となります。
6)ハラスメント相談窓口の役割と内部通報窓口との連携強化
私たちは、ハラスメント相談窓口の担当者の方に対し、相談窓口の役割について明確に説明します。その役割を認識し研修参加者に信頼性のある相談窓口を利用する重要性を伝えてもらう必要が有るからです。また、内部通報窓口と連携を強化し心理的安全性や守秘義務を確保する対応を取っていただく必要があります。
7)キャリアカウンセリングの提案
国家資格キャリアコンサルタントによるキャリアカウンセリングを提案します。従事者のキャリア支援に寄与することができます。(内部、または外部委託)
8)従事者の日常をヒアリング
従事者の日常をヒアリングしたりアンケートを取ることを通じて、実際の課題を把握し、ハラスメント研修の内容をカスタマイズしましょう。
9)事例をもとにグループ討議
事例をもとにしたグループ討議を導入し、参加者がハラスメントについて議論し、問題解決スキルを向上させる機会を提供しましょう。
医療機関向けのハラスメント研修は、コンプライアンス遵守に含まれ、職場の安全性と品質向上に寄与します。トップの意向を受け、対象者を分類し、キーワードを考慮した研修プログラムを設計することが成功の鍵となります。是非、ハラスメント研修を通じて医療機関の職場環境を向上させ、患者と従事者の健康と幸福を守りたいものです。
認定登録 医業経営コンサルタント 登録番号7785号 藤村徳一
参考出典;厚労省「明るい職場応援団」 サイト https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/
ハラスメント研修協力;キャリアパートナーオフィス みるとらん 代表 野口様