病医院経営の今をお伝えするコラム
10月から変わる暮らしと制度と診療報酬改定
1.はじめに
10月から暮らしに関わる制度や価格が変わる。
飲食6500品超、家電や電気料など留まる事を知らない。
そして、9月では、総務省の発表によれば、物価(全国消費者物価指数)が31年ぶりに3%上昇したと発表した。
医療でも例外ではない。
ただ、情報や制度などは、状況や情勢によって瑠々変化する。
その事は予めご了承頂きたい。
2.応能負担
・後期高齢者保険の窓口負担金が1割負担者の中からある一定の所得などから約20%が2割負担へと変更になる。
一部負担金徴収に関しては、とても複雑であるが、3年間の配慮措置が設けられ、結果的には2割負担者が病院などで診療を受けた際に窓口で支払う額の負担増加額が1か月あたり3,000円までに抑えられる(入院の医療費は対象外)。なお、同一月内(1日から月末まで)に同じ医療機関で受診した場合は、上限額以上を窓口で支払う必要はないが、1か月の負担増加額が3,000円となったら、同月中のそれ以降の診療においては、1割負担分のみ、支払いすることになり、従前との違いは1円単位での徴収となる事。また、通常の外来医療の窓口負担の上限額(月18,000円)に達した場合には、それ以上の額を窓口で支払いする必要はない。
一方、複数の医療機関を受診した場合では、1か月の負担増を3,000円に抑えるための差額が後日、高額療養費として払い戻されるので、振込先の口座の登録をしておく必要がある。
新規保険証の再発行や振り込み手数料や事務雑費などを鑑みれば、如何なものかと考えるがこれは、マイナンバーカードによる保険証への紐づけで解消されるだろうか。
3.経過措置
・診療報酬で言えば、施設基準など9月30日までの経過措置が満了する項目があり、新たな変更や再申請などを行わなければならない項目がある。
その中で注目したいのは、疾患別リハビリテーション料の標準的算定日数の除外規定に該当する患者が標準算定日数を超えてリハビリテーションを行う場合に、月に1回以上機能的自立度評価法(FIM)を測定していることを要件化された事である。
所謂、介護保険への移行を示唆したものとして、2021年介護保険改定で、訪問・通所リハビリテーションが高評価されたフラグ(伏線)が回収された。
因みに、最近、都道府県の厚生局の適時調査の相談業務の依頼が多くなった。
また、超高額レセプトの審査が10月診療分から厳格化され、現行の「38万点以上」から「35 万点以上」に適用範囲を拡大したという記事がある。
さらに、4月から選択式コメントが薬剤にも追加され、さらに10月からの審査を強化する。
以上の事から、行政は、ロジックを基に医療費の大幅削減へと舵をきり、努力なき医療機関の差別化は、さらに顕著となる。
4. 医療のDX
オンライン資格確認システムを利用して患者情報を取得して診療した場合に算定できる「電子的保健医療情報活用加算」(7点または4点)が廃止され、点数を減らして「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」(4点または2点)として10月から新設されることになった。
○オンライン資格確認システムが導入されている医療機関で受診した場合
①医療情報・システム基盤整備体制充実加算1
・マイナ保険証を利用しない場合(従来の保険証を利用した場合)
初診:4点(12円) 再診:加算なし 調剤:3点(9円)(但し、6か月に1回)
②医療情報・システム基盤整備体制充実加算2
・マイナ保険証を利用する場合
初診:2点(6円) 再診:加算なし 調剤:1点(3円)(但し、6か月に1回)
(詳細は下図を参照)
そして、2022年10月からの改定では、どちらの保険証でも再診時の加算をゼロにしたうえで、初診時の診療報酬をマイナ保険証で6円、従来の保険証で12円と、マイナ保険証の患者負担を従来の保険証よりも軽くして、マイナ保険証の普及を鑑みてこれまでの状況を「逆転」させた格好だ(いずれも負担金10円と絶妙)。オンライン資格確認システムが導入されていない医療機関で受診した場合加算措置なしだが、療養担当規則等が改正され、保険医療機関・保険薬局は、オンライン資格確認の導入が原則として義務づけられる事となった。(令和5年4月1日から施行予定)
元々、療養担当規則には、1か月に1回受給資格の確認の義務があるとされている。
私も実際にデモ版を体験する機会があり、体験したところ、驚愕した。
まずは、この普及により、保険証の不備による返戻がなくなり、医療機関、審査機関、保険者の3方の事務量の効率化などが十分な効果が得られる。
しかも、全くの初診であれば、住所まで自動入力される。
また、前日に予約患者の対応も事前に用意出来る。
これに、電子問診、電子処方箋(宅配利用)、AIによる服薬指導、オンライン診療となれば自宅などで完結してしまう。
待ち時間の解消となれば、患者等の負担が少なく、医師等の働き方改革にも貢献出来る。
診療行為や検診内容もスマホにて確認出来て、さらに拡張性で言えば、電子カルテの標準化(HL7 FHIR)が既に設定されているから、連動すれば、検査データや診療内容など照会し、診察が可能。
他にも、介護ソフトや検診などと連動するなどの運用の仕方で多数のメリットが、実現化する可能性を秘めている。
スマホなどのインフラストラクチャーの活用で、医療・介護・福祉などのDXは、もう身近なものになっている。
政府が進めている、マイナンバーカードと保険証の紐づけは、いつか必ずしなければならないだろう。
現在では、12月末までだとマイナポイントが最大20,000ポイント付加される。
今が、最終チャンス(機会)なのか?
末筆とはなるが、他にも10月から、医師等の働き方改革などから、大病院での紹介状なしの初診時の徴収額5,000円以上を7000円以上に引き上げ、紹介受診重点医療機関内容等や「看護職員処遇改善評価料」を診療報酬で新設、最高点数の看護職員処遇改善評価料165が340点にされた等、幾つもあるが、長文となってしまう為、次回の紹介としたい。