病医院経営の今をお伝えするコラム
【簡単解説 : ラーメンでわかる「診療報酬」と「施設基準」の仕組み】
はじめに…
医療機関の収入のほとんどが診療報酬です。
この価格は「1点=10円」の公定価格であり、物価高を理由にクリニックの裁量で自由に値上げはできません。さらに、仕入れの消費税を価格に転嫁できない(損税問題)という構造的なビハインドも抱えています。だからこそ、経営のすべてを握る「診療報酬の仕組み」をどうハックするかが、医療機関存続の分かれ道となります。
この診療報酬の仕組みは、ラーメンに例えると非常に分かりやすくなります。ベースとなる基本の診療行為(初診料や再診料など)は「素ラーメン(基礎単価)」にあたります。これに対して「施設基準の届出」とは、チャーシューや卵などの具材を乗せる【メニューの追加(トッピング)】の手続きです。医療機関が一定の人員や設備などの要件を満たし、地方厚生局に届け出て初めて、高い点数(加算)をプラスできるようになります。この関係性をこれからの医療経営に落とし込んだものが、以下の「新収益の方程式」です。
※ { 収 益 }= {基礎単価} + {機能評価・加算} + {継続率(ファン化)}]
「素ラーメン」である基礎単価に、施設基準という「トッピング(機能評価・加算)」を上乗せし、さらに医療の質向上によって継続率(ファン化)を高める。この掛け算こそが、これからの医療機関が目指すべき収益のカタチです。
6月に入り、ベースアップ評価料という、見せかけの数字の裏で、ひとたび「感染症の谷間」に入った途端、クリニックでは、内科はマイナス幅が約5倍(-2.4%)に急降下、耳鼻科もさらに悪化(-3.2%)、小児科は大マイナスへ転落するなど、普通に診療を行うだけの「素ラーメン」の経営スタイルを続けることは極めて困難になっています。今後は、戦略的に施設基準というトッピングを取得していく防衛策が不可欠となります。
ただし、施設基準は一度受理されたら終わりではありません。正しく維持・管理できなければ、厚生局の適時調査などで過去に遡っての自主返還(ペナルティ)を科されるリスクもあります。だからこそ、自院の実態データを活用して人員コストや設備投資に対する費用対効果を綿密にシミュレーションし、競合よりも一歩早く、できるトッピング(施設基準)から計画的に取得・維持していく必要があります。
【最終要約:国の方針に依存しない「施設基準(豪華な具材)」によるクリニック防衛戦略】
クリニックのベースアップ評価料の申請率は約65%に留まり、その使途も賃上げに限定されています。国の見せかけの誘導や経営の波に左右されない強固な収益構造を築くには、施設基準(豪華な具材)を計画的に取得し、医療機関の裁量で使える基礎点数を底上げすることが最大の防御策です。
施設基準の取得は、単なる増収にとどまらず、「経営安定 → 雇用の質向上 → 医療の質向上 → 患者満足度向上 → さらなる経営安定」という好循環サイクルを生み出します。また、2年後に本格導入される「かかりつけ医機能を発揮する制度」の定義そのものです。
もし、この『かかりつけ医機能制度』の要件(施設基準など)を満たせなければ、将来的に選定療養費として患者からワンコインなど(追加負担)を徴収せざるを得ない立場に追い込まれそうです。さらに、中長期的には2027年3月からの「OTC類似薬の選定療養費(一部保険外療養)化」 による受診控えや処方減少という巨大な経営リスクも迫っています。
最後に、迫りくる冬期の感染症V字回復の前に、そしてOTC類似薬の選定療養費導入に伴う駆け込み需要が始まる前に、そして、中長期の激変を見据えて先手を打つべく、処方動向や制度改正などに左右されない強固な経営基盤を構築するための「施設基準(豪華な具材)」の取得をご提案いたします。
以 上

