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2026年09月11日

病床機能報告をミクロ分析する ⑦ (病棟票の様式1と様式2を繋げる有用性について)

執筆した医業経営コンサルタント

池田 和明

池田 和明

池田和明
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病床機能報告の公表は平成28年に始まり、現在10年が経過したところです。当初は、病棟票が1枚のExcel sheetに纏められていましたが、令和3年度報告より様式1と様式2に分かれ、データも切り離されたことから、その有用性は低下しました。(上図を参照) そこで私は、様式1と様式2を繋げて加工し、1枚のSheetに纏めて構想区域単位、あるいは都道府県単位での分析を実行してきました。

病棟票の様式1には、「病棟の基本情報や職員数、入退院患者の状況等」のデータが、様式2には、「各診療行為の実施状況(レセプト件数、算定日数、算定回数)等」のデータが集約されています。この2つのデータを繋げて計算式等を挿入することにより、病棟別(入院料別、診療科別等)、あるいは医療機関別の診療実績の比較・評価が可能になります。本コラムでは私見を交えて、その一部を紹介させていただきました。

本稿では、1枚のExcel sheetに纏めた病棟票をより有効に使用する目的で、2つのデータを繋げる作業工程も含めて、大事なポイントを以下の8つに絞ってお伝えしたいと思います。
1. 先ずは、様式1の“必須項目”と“任意項目”の数値の整合性を確認しながら、未入力や誤入力の値に修正を掛けます
2. 様式2は、“年間値合計”のExcel票を使用します。
3. 様式2の有床診療所の行は、全て取り除きます。(様式1に有床診療所のデータは有りません) そして、様式2にある全ての数値を12で除して、“月別の数値”に置き換えます
4. “様式1と様式2を繋げる作業”を行う際は、以下の手順で進めて行きます
・様式1の「医療機関コード(医科)」と様式2の「医療機関コード(医科)」を合致させます
・様式1の「病棟名」と、様式2の「病棟名」を合致させます
・様式1の「該当する入院基本料・特定入院料」と、様式2の「算定する入院基本料・特定入院料等の状況」の整合性を確認します
・様式1の「主とする診療科」と、様式2の「臓器別の手術の実施状況」や「疾患に応じたリハビリテーションの実施状況」から、整合性を推測します (様式1の「主とする診療科」と、様式2の「各診療行為の実施状況」からも、整合性を推測することは可能です)
5. 様式1と様式2を繋げた後に、“各病院の合計”の行を挿入し、必要な数値を入れて行き、出来上がったExcel票の全てのセルを確認します。不適な数値がある場合には、左右・上下のセルのデータ等に基づき修正を加え、診療実績等を比較・評価できるまでの“情報”に仕上げます
6. 診療実績(=診療報酬)を比較・評価する場合、規模補正等を目的に“算定率等”を算出します。その求め方は以下の通りです
・疾患別リハビリ料や認知症ケア加算等のように毎日算定するものは、在棟患者数で除して算定率を求めます
算定率 = 算定患者数(1ヶ月) ÷ 在棟患者数(1ヶ月)
・入退院支援加算や退院時共同指導料等のように退院日に算定するものは、退院患者数で除して算定率を求めます
算定率 = 算定患者数(1ヶ月) ÷ 退院患者数(1ヶ月)
・手術や介護支援等連携指導料等のように入院中に算定するものは、稼働病床数等で除して“係数”を算出し、その大小から評価を行います
〈例〉 手術係数 = 手術総数(1ヶ月) ÷ 稼働病床数
7. “在棟患者数(1ヶ月)”は、以下の手順で求めます
・「算定する入院基本料・特定入院料等の状況」の算定患者数を合計します
・ただし、1つの病棟で、2つの入院料(例えば、急性期一般入院料と地域包括ケア入院医療管理料)を算定しているケースでは、1人の患者を2カウントすることもありますので、このケースでは、下記の独自の計算式で算出された値を参考にして手入力を行っています
在棟患者数(1ヶ月) = 稼働病床数 × 病床稼働率 × (1+((30.4‐1)/平均在院日数))
8. 病床機能報告の「在棟患者延べ数」の定義は、「毎日24時現在の在棟患者+退棟患者」ですから、“病床稼働率”は、下記の計算式で算出します
病床稼働率 = 在棟患者延べ数 ÷ 稼働病床数 ÷ 年間日数
・「在棟患者延べ数」に「退棟患者数」を加えた計算式を用いると、病床稼働率は実際のものより高く算出されます。特に平均在院日数が短い病棟(病院)では、上ずれが大きくなります
※ 上記8つのポイント以外にもたくさん“コツ”があるのですが、紙幅の都合上割愛させていただきます
※ 様式1と様式2を繋げる有用性について、ミクロ分析には適していますが、上記のように作業工程が複雑なことから、全国のデータを扱うようなマクロ分析には不適当と考えています

これまで、「病床機能報告をミクロ分析する」をテーマに執筆してきましたが、今回をもって最終回になります。お読みいただいた方々に、改めて心からお礼を申し上げます。
そして、本コラムの内容に少しでも興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、どうか気軽にお声を掛けてください。私自身も、全国の様々な構想区域、あるいは都道府県単位のデータを1枚のSheetに纏め、分析・評価する作業を通して研鑽を続けて行きたいと思っています。

最後に、新たな地域医療構想で新設された「医療機関機能報告」の都道府県への報告が、いよいよ本年10月から始まります。(下図を参照) 従前の病床機能報告や外来機能報告、DPCデータ、NDBオープンデータ等に医療機関機能報告のデータを加えることで、より精度の高い分析が可能になるでしょう。そこから医療機関や地域医療の課題を抽出して、微力ながら地域医療構想の策定に寄与して行きたいと考えています。


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