病医院経営の今をお伝えするコラム
病床機能報告をミクロ分析する ⑥ (重症度、医療・看護必要度)
2026年診療報酬改定で、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の施設基準が大きく見直されました。(上図を参照) 目立ったものとして、手術なし症例における評価を適切に進める観点から、C項目(手術等の医学的状況)に、対象となる内科的治療・検査・手術等が多数追加されました。また、救急搬送症例における評価を適切に進める観点から、A項目(モニタリング及び処置等)にある「救急搬送後の入院(2日間)」には手を付けず、新たに「救急患者応需係数」を算出し、従前の該当患者割合に加算して求める「割合指数」が用いられることになりました。
そこで、重症度、医療・看護必要度の実績から医療機関の持つ機能を把握する目的で、急性期機能を持つA・B・Cの3つの病院の急性期一般病棟における2024年度実績を纏めてみました。(下図を参照) Excel票は施設表と病棟票(様式1+様式2)、そして関東信越厚生局ホームページの4つのデータを繋げたもので、急性期一般病棟(緑色セル)における重症度、医療・看護必要度に加え、在棟患者延べ数の割合から、病院毎の重症度、医療・看護必要度を算出しています。
それでは下図を見ながら、思うところを書き出してみます。
1. A項目(モニタリング及び処置等)に注目しますと、下記の通り、C・B・A病院の順に該当患者割合が高いことが解ります
・A>=1点では、C病院48.0、B病院32.7、A病院28.7
・A>=2点では、C病院25.1、B病院21.7、A病院20.7
・A>=3点では、C病院13.1、B病院11.9、A病院11.7
2. B項目(患者の状況等)に注目しますと、C・A・B病院の順に該当患者割合が高いことが下記の通り推察されます
・A>=2点かつB>=3点では、C病院17.2、A病院13.4、B病院12.2
上記の数値を夫々のA>=2点の数値で除してみます(A>=2点の母集団の中で、B>=3点が占める割合を求めています)
・A>=2点かつB>=3点 ÷ A>=2点は、C病院68.5%、A病院64.9%、B病院56.3%
3. 同じく推察程度のものですが、下記の認知症ケア加算の算定率と併せると、B項目の該当割合を上昇させる要因として、認知症患者の割合が考えられます
・認知症ケア加算の算定率は、C病院27.3%、A病院23.3%、B病院12.4%
4. C項目(手術等の医学的状況)に注目しますと、A・B・C病院の順に該当患者割合が高いことが解ります
・C>=1点では、A病院15.0、B病院12.0、C病院11.4
※ いずれの病院でも、整形外科が主に使用する病棟で最も高く、消化器外科、泌尿器科、循環器科が続きます
※ 内科病棟では低値に留まっています。また、2026年改定で内科的治療・検査・手術等が対象に多数追加されましたが、その影響は小さく限定的と私は考えています。
5. 一方、新設の救急患者応需係数の加算は影響が大きく、A・B・C病院の割合指数は以下のようなイメージで急上昇するでしょう
・A病院 ⇒ 5,011(件) ÷ 143(床) × 0.005 = 17.5% (⇒ 上限の10.0%)
・B病院 ⇒ 2,973(件) ÷ 174(床) × 0.005 = 8.5%
・C病院 ⇒ 3,763(件) ÷ 243(床) × 0.005 = 7.7%
※ 救急患者応需係数については、病床数の少ない医療機関の方が若干有利なように思われます
※ 救急搬送症例が高く評価されたことから、救急車の受け入れが積極化して行くでしょう
6. A・B・C病院の2026年6月時点の急性期病棟入院料の届出は下記の通りです
・A病院 = 急性期一般入院料1
・B病院 = 急性期一般入院料2
・C病院 = 急性期病院A一般入院料
※ 重症度、医療・看護必要度に加えて、看護職員配置(看護・多職種協働やICT等の活用による看護業務の効率化を含む)、救急搬送件数(夜間時間帯の受入件数を含む)や全身麻酔手術数等を判断材料として、より高額な入院料を届出る動きが予想されます
2026年診療報酬改定を振り返りますと、2040年に向けての「新たな地域医療構想策定」に沿った改定であることを改めて感じます。各医療機関には、2040年に向けた方向性の検討を速やかに開始し、そして明確化することが2028年度中に求められます。

