病医院経営の今をお伝えするコラム
病床機能報告をミクロ分析する ⑤ (急性期後の支援・在宅復帰への支援の状況)
85歳以上の高齢患者の増加が予測されることから、今回は急性期後の支援と在宅復帰への支援について分析してみます。ケアミックス型のA・B・Cの3つの病院の2024年度実績を纏めてみました。(上図を参照) Excel票は病棟票の様式1と様式2を繋げて加工したもので、夫々の診療報酬算定患者数は、月別の数値で示しています。
それでは上図を見ながら、思うところを書き出してみます。
1. 入退院支援加算では、A・B・Cの3つの病院で加算1が算定されています。各病棟に担当者が配置され、入院後から退院まで、手厚い支援体制が構築されていることが解ります。ただ、A病院の算定回数は少ないように思います
2. 入院時支援加算は、B・Cの2つの病院で算定されていて、入院前からの支援体制が構築されていることが解ります。ただし、C病院では加算2の算定が多いことから、看護師、薬剤師、管理栄養士等を含めた多職種連携に少し不安が残ります
3. A・B・Cの3つの病院で、急性期患者・在宅患者支援病床初期加算が、地域包括ケア病棟や療養病棟で算定されていて、高齢患者を積極的に受け入れる姿勢が窺えます
4. 退院時共同指導料2は、A・B・Cの3つの病院で殆ど算定されておらず、在宅療養を担う医療機関や訪問看護との後方連携に改善の余地があるように思います。特に、B病院の退院患者は在宅医療に移行する割合が高いことから、退院時共同指導への取り組みの必要性を感じるところです。なお、本指導料は2026年改定で、地域包括ケア病棟においても出来高算定できるようになりました
5. 介護支援等連携指導料は、B・Cの2つの病院で算定されていて、入院中から介護支援専門員と連携し、退院後のケアプランを作成していることが解ります。なお、本指導料についても2026年改定で、地域包括ケア病棟において出来高算定できるようになりました。また、介護支援等連携指導料1・2に再編され、高い点数の指導料2では、平時からの介護支援専門員等との連携体制が求められることになりました
6. 退院時リハビリテーション指導料は、A・B・Cの3つの病院で算定されています。退院後の生活をリハビリの視点から、患者や家族、看護・介護を担当される方々へ指導をされています。整形・脳外・循環器科が主に使用する病棟での算定回数が多いようです。なお、本指導料は、2026年改定で算定対象患者の見直しがありましたので、今後注意が必要です
7. 退院前訪問指導料は、A・B・Cの3つの病院全てで算定されていません。本指導料は、2026年改定で回復期リハビリ病棟において出来高算定できるようになりましたので、今後算定回数の伸長が期待されます
8. 二次性骨折予防継続管理料は、A・B・Cの3つの病院で算定されています。いずれも急性期一般入院料の病棟での実績ですから管理料1の算定で、看護師、薬剤師等を含めた多職種連携により、骨粗鬆症の計画的な評価および治療等が行われていることが解ります。特に、C病院の算定回数は24回/月と多いことから、大腿骨近位部骨折手術の患者数そのものが多いことが窺えます
以上、算定の有無、および算定の回数に着目してきましたが、次は算定の割合に着目してみます。A・B・Cの3つの病院の入退院支援加算・入院時支援加算・退院時リハビリ指導料の算定割合を纏めてみました。(下図を参照) いずれも算定回数を退院患者数で除したもので、その理由は以下の通りです。
※ 入退院支援加算・退院時リハビリ指導料は、入院最終日(退院日)に算定するため
※ 入院時支援加算は入院初日(入院日)に算定しますが、医療機関の1ヶ月間の入院患者数と退院患者数はほぼ同数になることから、退院患者数を代用しました
算定割合を示す3つの赤色折れ線グラフは同じ“形”になっていて、いずれの診療報酬(=診療行為)においても、B病院の算定率が最も高く、次にC病院、そしてA病院が続きます。従いまして、在宅復帰への支援に係わる取り組み度は、B病院>C病院>A病院と考えられます。
新たな地域医療構想では、今まで以上に医療・介護の連携体制構築が求められます。構想区域内に所在する医療機関をミクロ分析することで、地域の課題が見えてくるかも知れません。そして、その課題を関係者間で共有することが大事なことと考えます。

