病医院経営の今をお伝えするコラム
医師の宿日直の許可申請について

昨今、医師の宿日直の許可申請についての関心が高まっています。
医師の宿日直許可がなされているかどうかは、令和6年度から始まる医師の働き方改革における労働時間の上限規制に大きく関わる事ですし、勤務間インターバルについても宿日直許可がなされている宿日直であるかどうかで要件が変わってきます。また、昨今の医師の宿日直中における未払賃金請求の裁判において示された判断は医療機関に大きな影響を与えました。
宿日直許可申請の手続というのは、提出する申請書を見ると一見簡単そうに見えます。しかし、インターネット等を検索してもあまり情報がなく、所轄労働基準監督署の判断は様々です(宿直者の勤務態様はともかく、救急車の受入台数が多ければそもそも許可しない等と説明を受けたとのケースもあります)。筆者も社会保険労務士として宿日直許可申請に関わった事がありますが、非常に困難を極めた経験があります。一般的には、宿直室の図面や、業務の内容、巡回経路、宿日直体制が分かる名簿や宿直手当の計算方法に記載した書面等を提出する必要がありますが、ローカルルールも強く、提出する書類はインターネット等では示されていない事が多くあり、何度も労働基準監督署に通う必要があります。また、許可申請書の受理後は訪問調査もあり、これに備えておかなければなりません。
これから、宿日直許可申請の準備をする医療機関において、宿日直許可申請経験のある社会保険労務士等の専門家がいない場合は、申請は非常に困難を極めますし、また、許可証には附款が付いている場合がありますが、かつて許可を取得した医療機関においても、この附款に違反している場合があります。筆者が見た多くのケースでも1人週1回という許可の基準は全く満たしていないというケースが、医療機関や介護施設で多く見られます。
しかしながら、宿日直許可申請が難しいからといって、実態として寝当直である業務態様となっている場合において、宿日直許可申請を取得しなければ、その時間は労働時間という事になるため、コスト面だけでなく、時間外労働時間の上限規制に抵触するリスクも抱え、また、兼業の労働時間の算定がされてしまえば、宿直業務をする医師を大学病院等から受け入れる事が難しくなってしまうおそれがあります。
宿日直許可申請について、疑問が生じた場合は、顧問の社会保険労務士や都道府県の医療勤務環境改善支援センターのアドバイザー(医業経営アドバイザーまたは医療労務管理アドバイザー)に早めにご相談頂き、医師の働き方改革に向けた体制整備の一環として取り組んで頂きたく存じます。