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診療(介護)報酬
2026年02月12日

【解説】「急性期病院一般入院基本料」新設へ──急性期Aにおいては救急搬送2000件・在院日数16日以下が分水嶺

執筆した医業経営コンサルタント

井之上 晃弘

井之上 晃弘

病院システム
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■ 「急性期病院一般入院基本料」の新設と体系の再編
今回示された改定案の骨子は、従来の一般病棟入院基本料から、救急医療や高度な手術を担う病院を「急性期病院一般入院基本料」として切り出す点にあります。 具体的には、機能と実績に応じて以下の2つの区分が新設されます。

急性期病院A(最上位): 大学病院・DPC特定病院相当の機能を想定
急性期病院B(地域中核): 地域中核病院相当の機能を想定

これらに該当しない病院は、既存の「急性期一般入院料1〜6」または「地域一般入院料1〜3」として評価されることとなります。 また、この新設入院基本料と既存の入院基本料は併算定不可とされており、病院全体としての機能選択が問われることになります。

■ 「急性期病院A」に求められる高度な実績と病棟構成の制限
最上位区分となる「急性期病院A」は、大学病院やDPC特定病院相当と位置付けられており、極めて高い実績要件が課されています。

【急性期病院Aの主な要件案】
救急搬送実績: 年間 2,000件以上
手術件数: 全身麻酔手術 年間 1,200件以上
平均在院日数: 16日以内
自宅退院率: 8割以上
看護配置: 7対1(正看護師比率7割以上)
医療提供体制: 二次救急・救命救急センター・総合周産期母子医療センターのいずれかを設置

特に注目すべきは、平均在院日数が「16日以内」と短縮されている点と、病棟構成の制限です。「急性期病院A」を算定する場合、「地域包括ケア病棟」および「地域包括医療病棟」の併設は不可とされています。 これは、院内での転棟による在院日数調整を前提とせず、高度急性期医療に特化した運営が求められていることを示唆しています。

■ 「急性期病院B」は地域包括ケア病棟との併設が可能
一方、「急性期病院B」は地域中核病院相当の機能を評価する区分です。

【急性期病院Bの主な要件案】
救急搬送実績: 年間 1,500件以上
または「救急搬送500件以上 + 全身麻酔手術500件以上」
※地域特例(人口20万人未満等)や離島特例あり
平均在院日数: 21日以内
看護配置: 10対1(正看護師比率7割以上)

「急性期病院A」との大きな違いは、病棟構成の制限緩和にあります。「急性期病院B」では、地域包括医療病棟の併設は不可であるものの、地域包括ケア病棟の併設は可能とされています。 平均在院日数要件も21日以内と、現行の急性期一般入院料1と同等の水準であり、ケアミックス機能を持つ地域中核病院にとっての現実的な選択肢となる可能性があります。
※急性期病院A・急性期病院Bの比較は下部にスライドを掲載
■ 救急搬送実績のカウントに関する除外規定

救急搬送実績の要件については、件数基準のハードルだけでなく、その「質」も問われる内容が含まれています。 短冊案では、「介護老人保健施設・介護老人福祉施設からの救急搬送の場合、周辺医療機関で対応可能と思われる症例はカウントできない」という注釈が付記されています。 単純な搬送件数の確保だけでなく、地域における救急医療の役割分担を意識した受入体制が求められることになります。

■ 重症度、医療・看護必要度の評価式の変更

また、看護必要度の評価方法についても見直しが提案されています。 従来の評価式に加え、「病棟別の年間救急患者応需数」が加点要素として組み込まれます。

新評価値 = 当該病棟の重症患者割合 + (病棟別の年間救急患者応需数 × 0.005)
※救急患者による加算は最大0.1まで

これにより、手術等の実績が少なくとも、救急医療への貢献度が高い病院が評価されやすくなる一方、救急受入が少ない病院にとっては、看護必要度の基準クリアが相対的に厳しくなる可能性があります。

■ 今後の展望と対策

今回の改定案は、急性期病院の機能を「高度急性期(A)」「地域中核(B)」「その他」へと明確に分化させる意図が読み取れます。これにより、各医療機関は自院の将来像を決定づける重要な岐路に立たされることになります。

今後の対策として不可欠なのは、単に「施設基準を満たせるか否か」という視点だけではありません。新設される「急性期病院A・B」を取得することによる増収効果と、それを維持するためのコスト(人員配置、病棟再編による稼働率への影響など)を天秤にかけた、緻密な損益シミュレーションが求められます。

さらに、自院の診療実績のみならず、医療圏内における競合病院の動向や、地域が求める医療ニーズを俯瞰したポジショニング分析も欠かせません。高度急性期医療に特化して生き残るのか、あるいは地域密着型の中核病院としてケアミックス機能を強化するのか。 制度改定を機に、自院がどの「区分」の立ち位置で運営していくのか、明確なターゲットを設定し、経営資源を集中させることが、持続可能な病院経営の要諦となるでしょう。

病院システム
経営コンサルティング部
井之上晃弘


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