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診療(介護)報酬
2025年11月18日

DPC/PDPSとは? 病院経営を左右する「診断群分類」と診療報酬の仕組み

執筆した医業経営コンサルタント

井之上 晃弘

井之上 晃弘

病院システム
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病院で支払われる「診療報酬」。この計算方法には、大きく分けて2種類あることをご存知でしょうか。一つは、診察や手術、薬剤など、実施した医療行為を一つひとつ積み上げて計算する「出来高評価」方式です。もう一つが、主に急性期医療を担う病院(DPC対象病院)で採用されている「DPC/PDPS」という方式です。

今回は、このDPC/PDPSについて解説します。

DPC/PDPSとは、「診断群分類(Diagnosis Procedure Combination)に基づく1日当たり定額報酬算定方式(Per-Diem Payment System)」の略です。

従来の出来高払い方式が、医療行為の量に応じて報酬が増える仕組みだったのに対し、DPC/PDPSでは、「診断」と「処置」の組み合わせ(診断群分類)ごとに、1日当たりの報酬額が定められています。

この方式の特徴は、報酬単価が入院期間に応じて変動することです。具体的には、入院初期の医療資源投入量が多い「入院期間Ⅰ」の単価が最も高く設定されており、その後「入院期間Ⅱ」、「入院期間Ⅲ」と入院が長くなるにつれて、1日当たりの単価は段階的に下がっていきます。

この仕組みは、病院側に対して、不必要な医療行為や長期入院を減らし、最小限の治療で早期に患者を退院させるインセンティブ(動機づけ)を生む構造になっています。

ただし、DPC対象疾患であっても、すべての診療行為が定額払いになるわけではありません。手術、麻酔、リハビリテーションなどは、従来通り「出来高評価」として計算され、この定額部分(包括部分)に加えて支払われます。

●病院の「頑張り」が報酬に反映される「医療機関別係数」

DPC病院における診療報酬は、大きく以下の3つの要素で構成されています。

1. DPCコード別点数(包括部分)
疾患や診断ごとに、入院期間Ⅰ~Ⅲに応じた点数が細かく決まっています。
2. 医療機関別係数
病院ごとの機能や努力を評価する係数です。これは医療機関ごとに異なります。前年の医療機関の頑張りが翌年に反映される仕組みとなっており、その係数は厚生労働省より公開されています。
→https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001487164.pdf
3. 出来高評価
手術、麻酔、リハビリなど。包括払いに含まれない診療行為

ここで重要なのが「医療機関別係数」です。これは、各病院の特性や医療提供体制への取り組みを評価するもので、以下の5つの係数の合計で決まります。

① 基礎係数: 大学病院本院群、DPC特定病院群、DPC標準病院群といった、病院の機能や役割に応じて設定される基本的な係数です。
② 機能評価係数Ⅰ: 急性期一般入院料など、病院が算定している入院基本料の種類などによって評価されます。
③ 機能評価係数Ⅱ: 医療の効率性、複雑性、カバー率、地域医療への貢献度など、病院の運営努力を評価する項目です。
④ 救急補正係数: 救急医療における初期の医療資源投入量を補正するための係数です。
⑤ 激変緩和係数: 診療報酬改定時に大きな変動が出ないよう、一時的に設定される係数です。
※下記画像参照

DPCが病院経営に与える影響

この「医療機関別係数」は、病院経営に直接的な影響を与えます。

例えば、あるDPC病院が算定する入院基本料のランクが「急性期一般入院料1」(1,688点)から「2」(1,644点)へダウングレードさせるか検討する場合を想定してみましょう。単純な点数差(44点)だけで計算すると一定の減収が見込まれますが、DPCの計算方法は厳密には異なります。

DPCの場合はダウングレードにより、「機能評価係数Ⅰ」が急性期一般入院料1から2に低下したぶんだけ係数が低下します。(この場合0.1034から0.0874へ)。この係数の低下分は、病院のDPC包括部分の売上全体に乗じて計算されるため、経営全体に大きなインパクトを与える可能性があります。

また、別の例として「機能評価係数Ⅱ」の「効率性係数」の改善に取り組んだと仮定します。これは平均在院日数などと関連する係数です。もし平均在院日数が長く、この係数が標準病院の平均値より低い病院が、ベッドコントロールの改善努力によって平均値まで向上させたとします。その場合、DPC包括部分の総額に対して増収が見込める試算となります。
もちろんこれは入院期間を短縮することは入院期間1、2の患者割合が増えることになるので係数の増加だけでなく、そもそもの入院単価の増加にもつながります。

このように、DPC/PDPSは単なる定額払い方式ではなく、医療機関の機能や、医療の質と効率性を高めるための日々の努力を「係数」として評価し、診療報酬に反映させる仕組みです。DPC対象病院にとっては、自院の立ち位置と各係数の意味を理解し、医療の質を担保しながら効率的な病院運営を目指すことが、病院経営の向上につながります。

筆者:井之上 晃弘
理学療法士
病院システム 経営コンサルティング部


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