病医院経営の今をお伝えするコラム
令和8年の診療報酬改定予測 中医協 外来について(その1)

はじめに…
次回予告として、2026年度診療報酬改定予測「個別事項」の考察についてとしますとしたところ、丁度いいタイミングで、中医協が7月16日、2026年度診療報酬改定に向けた各論の議論を開始し、外来をテーマとし、外来について(その1)が発表された。
ついに来年の診療報酬改定へのキックオフがされた。
因みに、2026年度診療報酬改定月は、前回と同様、同年6月からの施行とされている。
表題は、
1.外来医療をとりまく環境について
2.診療内容と医療費について
3.外来診療に係る診療報酬上の評価について
・初・再診料等について
・かかりつけ医機能に係る評価について
・生活習慣病に係る評価について
・外来機能の分化の推進について
・情報通信機器を用いた診療について
概要は、要支援・要介護高齢者の外来診療に関する需要増加や「かかりつけ医機能報告制度」への対応、生活習慣病対策、特定機能病院の逆紹介推進、オンライン診療の適切な推進について意見を交わした。
かかりつけ医機能の診療報酬上の評価を巡り、早くも診療側と支払側で意見が対立した。
以上の中で、コラム上の紙面の制限なども鑑みて、私的に気になる部分を切り取りして、所謂、〇〇流で考察して行きたい。
※(頁の記載は、『中医協総ー3 令和 7.7.16 外来について(その1)』の大体の参照ページになっております。)
(出典)中央社会保険医療協議会 総会(第612回)2025年7月16日 議事次第 3外来について(その1)
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001517951.pdf
まず、表題から見ると、各項目のKPI(重要業績評価指標)がシームレスな関係を構築している。
そのロジックは、まず、人口減少と高齢化率の上昇(3頁~4頁、7頁あたり)から始まり、特に、13頁の、医療需要の変化、外来患者数の所では、既に減少局面にある医療圏が多い(全国での外来患者数は2025 年にピークを迎えることが見込まれる。65 歳以上が占める割合は継続的に上昇し、2050 年には約6 割となることが見込まれる、既に2020 年までに224 の医療圏では外来患者数のピークを迎えていると見込まれる。)
それに対して、無床診療所の総数は増加傾向にある、高齢者の方が、平均傷病数および外来受診率(在宅を含む)が高くなる傾向にある。(6頁~9頁あたり)
さらに、高齢化率が進めば、医療と介護では、介護保険が優先される。(10頁あたり)
要約すると人口減少、高齢化率は高くなり、外来患者数が減少、しかも無床診療所の総数は増加傾向にある。
需要と供給のバランスを保つには、どうしたらよいかと考えれば、これが、すべてではないが、2026年度診療報酬改定を通して、さらに外来医療費の増加に歯止めをかけたいという考え方へ自然に繋がっていく。
特に、無床診療所の半分を占めている内科は(12頁あたり)、前回の改定でさらに、狙い撃ちされ、苦戦を虐げられており『内科いじめ』だとして悲鳴をあげている。
しかも、来年の改定にもターゲットにされている。
当社にも増収と費用削減のご相談が後を絶たない。
さて、以下は、来年の外来医療費の増加に歯止め等をかけたいという考え方の具体的な議論の私的意見を踏まえながらまとめたものである。
重ね重ねではありますが、現時点での私的予測である事のご了承をお願い致します。
(※以下からは、主に、該当の外来診療に係る診療報酬上の評価についての頁をご参照下さい)
3.外来診療に係る診療報酬上の評価についての中から、一部切り取り
・かかりつけ医機能に係る評価に関しては、資料を見たが、私的には、イマイチピンと来ない。
それは、診療報酬上のかかりつけ医、医療法上のかかりつけ医、さらに患者側からのかかりつけ医、それぞれの定義が別々にあり、どう集約して整理するのか、踏み込んだ議論はなかった。
ただ、診療報酬上のかかりつけ医機能の1つ(初診時)機能強化加算(80点)は、施設基準の承認を受ければ、全ての疾患に初診毎に算定可能、ここは、支払側より、以前から問題視されている。
これに関しては、かかりつけ医機能への点数へ変換するのか、廃止になるのか、病名制限するのか、動きはありそう。
・再診料等について
これは、ズバリ「外来管理加算の廃止・点数の削減や移行など」しか考えられない。
以前から懇切丁寧な説明の要件化の問題があるし、ご丁寧に評価の変遷図もある。
その財源をベースアップ目的として前回同様に初再診料に上乗せも考えられる。
ベースアップといえば、外来ベースアップ評価料は、無床診療所では、約30%の申請率の低さ、各省庁でも問題視されている。
何かここら辺も差別化の匂いがする。
例えば、一律に再診料を上げるのではなく、再診料に外来ベースアップ評価料算定医療機関は、新設として再診料に+ベースアップ加算の新設し、財源は、外来管理加算から引き出せばよい。
前回でのマイナス改定を新設したベースアップ評価料などでプラス改定へと帳尻合わせをした。
しかも、ベースアップ評価料は、内部留保が出来ない、大義名分もつく、こんな荒業も無くはない。
・生活習慣病に係る評価について
特定疾患療養管理料から高血圧症、糖尿病 、脂質異常症の3疾患が生活習慣病管理料へのお引越しの効果は、検証された。
特定疾患療養管理料の上位を見ると、気管支喘息・慢性胃炎・胃潰瘍・慢性心不全・狭心症などがある。
どの疾患との明言はさけられたが、生活習慣病管理料の範囲を広げるような気配と特定疾患療養管理料をさらに見直すことも検討課題に挙げている。
さらに、現行1か月1回の算定を、病名によって、例えば2か月、3か月に1回ではどうかの意見は出たようだ。
なるほど、そうなるとリフィル処方箋を使えばいい。
恐らく、来年の改定では、リフィル処方箋には点数がつきそうだ。
さらに、電子処方箋を使えば、患者・調剤薬局の利便性も高くなり、医療DXの推進にもつながる一石三鳥状態となる。
以上の考察は、あくまでもの私の憶測に過ぎない。
しかし、今後10年の医療構想は、出来上がっている。
来年の改定でどこまで踏み込むのか。
私の好きな言葉のひとつ、『ああ、すべてはこれからだ』の言葉で締めたい。
以 上
【次回予告】
リクエストなどが御座いましたなら、お答えしたいと存じ上げます。
このコラムは、紙面の制限上などからプロトタイプにしております。
今後10年の医療構想なども、医療セミナーでもお伝えしています。
