病医院経営の今をお伝えするコラム
令和8年の診療報酬改定予測 【経済財政運営と改革の基本方針2025(骨太方針2025】
はじめに…
『我が国の国民皆保険制度は、既に崩壊している』
令和8年の診療報酬改定予測 【prologue】編にて、【次回予告】令和8年診療報酬改定予測「個別事項」についてとしたが、「令和7年6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針2025 ~「今日より明日はよくなる」と実感できる社会へ~」(骨太方針2025)が経済財政諮問会議での答申を経て、閣議決定されたので、まずは、その全体のフレームワークから説明したい。
この閣議決定は、今後のガイドラインの柱として討議され、各論の議論や予算編成などが行われる。
これを受けて、厚生労働省は、令和7年6月19日に「経済財政運営と改革の基本方針2025」、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2025改訂版」及び「規制改革実施計画等について」の発表をした。
概略は、以下の通りになります。
①社会保障関係費予算、「人件費・物価高騰」や「病院経営安定」などを勘案した増額行う
②医療・介護職員などの「さらなる処遇改善」を強力に進める
③社会保障制度改革では、「コストカット型からの転換」を明確に図る必要がある
④新地域医療構想・医師偏在対策など「医療提供体制改革」を強力に推進
⑤高額療養費の見直し、標準的出産費用の無償化、創薬力強化なども進める
⑥医療等DX推進に向け「マイナ保険証」を基本とする仕組みを円滑導入する
⑦「中長期的な介護サービス提供体制の確保のための方向性」を2025年中にまとめる など
以上の原案は、2025年4月23日、財務省発表の「持続可能な社会保障制度の構築(財政各論Ⅱ)」からなるものである。
その原案の中に、「診療報酬の特例」として外来診療所の地域偏在の是正、①医師偏在対策として、地域別診療報酬の仕組みを活用し、報酬面からも診療所過剰地域から診療所不足地域への医療資源のシフトを促していくべき。なお、当面の措置として、診療所過剰地域における1点当たり単価(10円)の引下げを先行させ、それによる公費の節減効果を活用して医師不足地域における対策を別途強化することも考えられると記載されている。
さらに、外来診療所の地域偏在の是正②過剰サービスの評価の適正化として、実効性ある医師偏在対策のためには、診療報酬上のディスインセンティブ措置が不可欠。適切なアウトカム指標導入とセットで、「特定過剰サービス」に対する減算措置を導入すべき。また、「特定過剰サービス」に係る保険給付については、アウトカム指標に応じた減算措置に加え、各年度の「基準額」を超過した場合の精算措置の導入についても検討すべきとも記載がある。
つまり、【1点単価、全国1律10円】が変更される可能性がありえるとも…
しかし、この事については、今回の「経済財政運営と改革の基本方針2025」の中には議題として取り上げられなかったので、『これは、私の考察であるが、最終手段』と考える。
以上の事からも来年の診療報酬は、マイナス改定へとの政府の本気度は十分に伝わる。
『我が国の国民皆保険制度は、既に崩壊している』
以 上
【次回予告】本題 令和8年診療報酬改定予測「個別事項」の考察についてとします。
※参考資料 (下図)
出典)「持続可能な社会保障制度の構築(財政各論Ⅱ)」財務省より
