病医院経営の今をお伝えするコラム
2022年4月診療報酬改定予測などのロジックについて PART2

前回「2022年4月診療報酬改定予測について」に書かせて頂いたが、2016年に当協会の2次試験の論文審査のデータが出てきて、懐かしく感じ再読してみた。
「主題 1 わが国の医療制度の課題と展望(医療提供制度、医療保険制度等)
副題 将来の超少子高齢化社会に対し日本の医療保健制度を守る為の医療の適正化と効率化について」の論文だが、その論文をこのままコラムとして、掲載出来るくらい現在でも色褪せていない事に驚いた。
しかし、10ページにもおよぶ論文の公開は不可能である為、今回は、その中から、個人的に気になる部分を、抜粋し最新情報もプラスして書き留めたい。
改定予測の全体像に関しては、あまり時間が取れず、出来具合はもう少しという所ではあるが上記図を参照して欲しい。
さて本題は少し変わるが、政府は、「増え続ける医療費について、高齢者と現役世代の負担と給付のアンバラスを是正する必要がある」としている。
介護保険料も40歳から支払いが義務化され、創設してから、2021年度より全国平均で月6,000円と2倍以上まで膨れあげ、初めて6,000円台を突破した。
2021年の6月には、一定以上収入がある後期高齢者(75歳以上)の医療費の窓口負担を、1割→2割に引き上げる改定高齢者医療確保法が成立した。
恐らく、2022年の夏に参議院選挙が予定されており、2022年10月~2023年3月までに施行すると公算が高い。
そうなれば、人手不足などを担保する方法などとして、介護保険も併せてという議論になりかねない。
2022年の社会保障費の伸び(自然増)は、2021年度より1,800億円多い6,600億円と見込んだ。
その中でコロナ関連経費は明示しない「事項要求」を認めるという。
この結果、総額は8年連続で100兆円を突破する見通しだ。
そして、新型コロナウィルス感染対策などに、いくらお金を使ったのか、政府は公開していない。
ただでさえ、借金大国なのに、18歳未満(所得制限あり)に10万円の支給、これはどの様な意味があるのか?
経済効果を狙っているとすれば、過去の事例から貯蓄にまわるのではないかなどの疑問視の声もある。
いずれにしても、医療機関、患者、保険者又は加入者にそのしわ寄せはされるであろうか?
医療機能体制の分化(介護も含む)や選定療養費の拡大、材料費を技術料への包括、薬剤の一部の保険外し、などという言葉も論文の中に散見されている。
また、“受診せず”に至らなくとも、経済的理由での受診の手控えは日本26%、アメリカ24%であり国民皆保険制度のないアメリカよりも悪い。
理由の多くは余力のない家計や多忙など暮らし向きの悪さによるものであるという言葉も追記したい。
最後に、論文の末筆には、社会保障改革に国民全員が一丸となってチームとなり、政治も政党も関係なく公・民も一体化して組織編成されるべきであり、まさしく「一億総活躍社会」を必要としているとしている。