病医院経営の今をお伝えするコラム
【健康経営】5 健康経営の5つのフレームワーク
前回、認定要件として定められた取り組みを実施することが必要と解説をしました。
大規模法人部門と中小規模法人部門では認定要件の必須項目が異なります。
今回は、5つの健康経営のフレームワークについて解説します。
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①経営理念・方針の策定
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健康経営を実践する際、マネジメント層が中心となって経営戦略として健康投資を推進することで、現場の管理者が基点となって従業員に対して目的・意識を共有して、企業文化を醸成していくことが重要です。
最初に健康戦略を策定して、「なぜ、わが社が健康経営に取り組むのか」ということについて、理念や方針を通じて明文化したうえで社内外への発信を行うことがポイント。
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②組織体制の構築
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健康経営の理念を浸透させて、取り組みを定着化させるためには、社内の関係部門はもちろんのこと、労働組合や健康保険組合などとの連携による組織体制を構築することが必要。
経営者と現場の管理監督者との合意形成や意思決定を推進するための健康経営推進担当者の存在が不可。
マネジメント層自らが健康経営の責任者として率先がポイント。
推進部門と合わせて、労働組合や健康保険組合を巻き込んだ健康経営推進委員会などの設置とともに、経営会議などでのモニタリング体制を定めることも重要。
産業医・保健師などの事業場内資源と、健康経営サポート企業などの事業場外資源が連携できる体制の構築も重要です。
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③制度・施策の実行
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まず、企業としての在りたい姿と、従業員の健康課題とのギャップを把握。
各企業が経営戦略として最優先するテーマを設定し、そのテーマに対する重点対象者への健康保持・増進に向けた具体的な施策を検討・実行すること。
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④評価・改善の実施
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健康経営に関する投資に対して、具体的な便益が得られたのかを検証する必要もでてきます。
健康経営優良法人認定制度も、2014年の実施から10年が経過し、多くの企業が経年で取り組むことになったことで、「何に取り組んだのか」という、施策の量以上に、「どんな成果が得られたのか」という施策の効果に、評価加点のウェイトが置かれるようになってきました。
また、取り組みの評価については、従業員の施策への参加率などのアウトプットから施策の改善率などのアウトカム評価が必要となります。さらには、『アブセンティーイズム』や『プレゼンティーイズム』、『ワークエンゲイジメント』といった業務パフォーマンスに関する指標を中心にPDCAサイクルを回していくことが求められるようになります。
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⑤法令遵守・リスクマネジメント
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健康経営優良法人認定制度の認定を受けるには、法令遵守とリスクマネジメントに取り組んでいることが前提となります。
健康経営の基盤として、法令遵守は非常に重要です。法令遵守には、労働安全衛生法、労働基準法、労働契約法などの労働関連法が該当します。これらの法令を遵守することで、労働者の安全と健康を確保し、企業のリスクを軽減することができます。
また、安全配慮義務の観点から取り組むリスクマネジメントへの対応は、予防措置や対策の実施によって労働者の健康リスクを最小限に抑えることを目指します。こうした取り組みは、従業員へのマネジメント上の責任を果たすだけでなく、民法上の訴訟リスクを回避するためにも重要です。
最終的には、これらの取り組みにより、従業員の健康と安全を確保するとともに、組織全体での働きやすい環境づくりを推進することができます。結果的に企業の生産性や従業員の満足度も向上する効果が期待できます。