医業経営に関する無料相談
現在、薬品代などの変動費率が60%、固定費が月額500万円で月額利益が100万円になるよう目標設定したいと思います。その際、どれだけの医業収益が必要かを計算する方法を教えてください。また併せて経営改善の検討方法も教えてください。
変動損益計算書を活用して損益分岐点医業収益高を求めます。
変動損益計算書は費用を変動費と固定費に分けて表示された計算書です。
損益分岐点医業収益高は固定費を限界利益率で割り戻して算出します。
変動費とは医業収益が増えれば当該費用も増え、医業収益が減れば当該費用も減り、医業収益に連動する費用です。主な変動費として薬品仕入や検査委託費があります。
これに対して固定費とは医業収益の増減に関係なく、余儀なく負担すべく固定的費用です。主な固定費として人件費、家賃が固定費になります。
限界利益とは医業収益から変動費を差し引いた金額をいい、限界利益を医業収益で除した比率を限界利益率といいます。限界利益から固定費を差し引いた金額は経常利益といいます。
「変動損益計算書」
医業収益
変動費(薬品仕入、検査委託費など)
限界利益
固定費(人件費、家賃など)
経常利益
このように費用を変動費や固定費に分解したものを「変動損益計算書」と呼ばれています。支出を全て賄って利益がトントンになるということは限界利益と固定費が同額になるということです。この関係を算式で表すと次のとおりです。
医業収益-変動費=限界利益=固定費
ということは固定費を限界利益率で割戻すことにより必要な医業収益が算出できます。
固定費÷限界利益率=損益分岐点医業収益高
そして必要利益も考慮する場合は固定費に必要利益を加算して計算します。
ご質問の場合、固定費(500万円)と必要利益(100万円)を加算し損益分岐点医業収益高を計算します。
(500万円+100万円)÷60%(限界利益率)=1,000万円
つまり、1,000万円の医業収益があれば変動費と固定費を全て支払って利益が100万円残ります。
医業収益1,000万円-変動費400万円(1,000万円×40%)=限界利益600万円-固定費500万円=100万円
なお、損益分岐点医業収益高を算出する際には損益計算書には現れない借入金の元本を、個人事業者の場合は生活費を固定費に含めて求めてみるのもよいでしょう。
次に、変動損益計算書の次の項目に着目して経営改善を検討します。
1.限界利益の改善
2.固定費の改善
利益を維持するためには限界利益が固定費を常に上回ればよいわけで、そのためには常に限界利益の向上と固定費の圧縮に着目すればよいでしょう。
限界利益を向上するための具体的な検討は次の方法が掲げられます。
1.医業収益改善の検討材料:診療単価、患者数、来院数
2.変動費改善の検討材料:薬などの仕入単価、在庫管理 固定費の改善は各固定費の科目ごとに無駄な支出がないかの検討を行います。
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回答は、医療機関等の個別の事情によって異なる場合があり、あくまで一般的な例示となっています。
回答の内容が正しく有効であることを必ずしも保証するものではありませんので、それぞれの分野の専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。