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開業に伴う診療圏調査とはどのような調査ですか
開業地・開業予定地で、1日にどれくらいの来院患者数が見込めるかを算出するために行う調査を「診療圏調査」といいます。「診療圏調査」は経営計画書を作成する上で医業収入を予想するための重要な調査となります。また、開業後のフォローアップのために「診療圏調査」を定期的に行うことも、今後の戦略的経営計画を作成する上で必要な調査です。
一般的に診療圏調査とは、次のようなプロセスで進めていきます。
1.統計資料の収集(町丁別人口統計他)
市町村役場で、町丁別、年齢別の人口統計や最近の人口動態等の資料を収集します。
2.現地調査・診療圏MAPの作成
開業地・開業予定地周辺(診療圏)にある医療機関や介護福祉機関、鍼灸院、調剤薬局、駐車場の有無など、どこに何があるのかを把握します。特に競合となる医療機関については患者動向なども調べます。
診療圏は開業地・開業予定地から半径500m~1,000mの範囲内とします。地方、あるいは診療科によってはその範囲を広げることも必要になります。
そしてこれらの情報を診療圏MAPにプロットしていきます。
幹線道路や河川、線路等の患者さんの通院を妨げる可能性のあるものについては、よく分かるように記載しておきます。
3.患者数の推計
診療圏内の人口に受療率(人口10万人当たりの1日当たり推計患者数)をかけて計算します。受療率は、厚生労働省の行う「患者調査」で傷病別、性別、年齢別に計算されています。
◯ 診療圏内推計患者数 = 診療圏内人口/10万人× 受療率
見込患者数の算出・総合判断
診療圏内推計患者数は、競合する医療機関がないことを想定した場合の、診療圏内の潜在的患者数を意味します。大病院など診療圏外に患者が流出していたり、診療圏内に同様の診療科がある場合には、これらを割り引いて、最終的に開業後の自院の見込患者数を算出します。
診療圏調査で得られた結果は、あくまで「理論値」です。開業後の患者数を約束するものではなく、ひとつの基準値として捉えて評価することが重要なポイントです。
診療圏調査には通常、数週間から1ヶ月を必要とします。しかし、簡易型であれば診療圏調査ソフトにより数分から数時間で分析できるものもありますし、民間会社が行う、電話による一般市民へのアンケート調査をするような詳細調査などもあります。
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回答は、医療機関等の個別の事情によって異なる場合があり、あくまで一般的な例示となっています。
回答の内容が正しく有効であることを必ずしも保証するものではありませんので、それぞれの分野の専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。